めせもあ。短編集 (ページ6)

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一言にときめく5題-とみたけ- ページ6

今日はとみたんが私の部屋に泊まる日。
練習終わりのとみたんと街で待ち合わせをして、一緒に夜観るDVD(やっぱりここは恋愛系で！)を借りて、家に帰って一緒にご飯を作って、さあ！恋人同士の時間！！

…なのに…。

「うわぉ～！A今観た！？白い手！白い手があったよー！」

…なぜ今心霊映画を観てるのでしょうか…？

『ねぇーとみたん。』

「んー？？」

『恋愛映画観ようよー。』

「え～、でもこれ新作だったから。明日返さなきゃなんだよー？」

この会話の間もとみたんの目は画面に夢中…。
こうなったら…これが終わるまで待つしか無いのか…。
諦めて私も画面の中の惨劇に目を移す事にした。
…最悪の事態になりませんように！

キャァァァァァ！！！

ーーまだ、呪いは終わってなどいなかったのだーー。

終わった。
あまり興味は無かった映画だったけど、ちょっと…ちょっと怖かったかな？

『じゃあ、終わったから次はこ…れ…。』

「……Ｚzz。」

…終わった。
今日のお家デートしゅーーーりょーーー。
ため息をつきながら、とみたんを軽く起こし、寝室に誘導する。
DVDは明日返し忘れ無いように私の鞄に入れて。
使い終わったコップなんかもちゃちゃっと洗っちゃって……。

キャァァァァァ！！！
ーーまだ、呪いは終わってなどいなかったのだーー。

ゾクリ。

いや、気のせい。
少し寒気がしたとか、気のせい。

必死に誤魔化そうとしても一度考えてしまった事は頭からなかなか離れ無い。
どんどんどんどん怖くなっていく…。

私は部屋の片付けもそこそこに、とみたんが居る寝室まで早歩きで行った。

もうとみたんはベッドの壁側でこちらに背を向けながらすこし丸まって寝ている。
空いているほうに身体を滑り込ませて、とみたんの背中から抱きつく。

『ーこういう時に背中向け無いでよ。』

お腹に回した腕でしがみつく。

「…ん～？？どしたの？A」

『…な、何でもないよ。ちょっと…怖くなっただけ…。』

「え～？あの映画で～？…かわいい～」

『……うるさい。』

「かわいいよ、Aは。今日はごめんね。明日、Aの観たがってた映画観よう？」

『そんな事言われたら…許すしかないじゃん。』

「許して許して～……よいしょっと」

そういってとみたんは身体を私の方に向けてくれた。

「ほら。」

1.おいで？

借りてきた恋愛映画より、この時間の方がよっぽどーーーー甘い。