めせもあ。短編集 (ページ25)

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熱く甘いキスを5題-フォーゲル-3 ページ25

『はぁ！？ばっかじゃ「俺ですけど？」…ゲルたん！！』

言い争ってた私達に気が付いて、彼が私の肩を掴みながら、男達に言う。

〈あー、あらら！ごめんね～。〉

いつの間にか男達が人混みにスルスルと紛れていった。

『はぁ～、ごめんね。ありがと、ゲルたん！』

掴まれてた手首を回しながら彼の顔を見上げる…。

『…ゲルたん？(怒って…る？)』

「A…どっか痛い所、無い？」

『あっ、無いよ！大丈夫！！』

「…手首、ちょっと赤い。」

『あ、本当だ。でも全然痛く無い……』

私が言い終わる前に、私の手をとり、彼がどんどん歩き出す。

『！！！えっ！！ちょ！ゲルたん！？速い！速いって！！』

前につんのめりながら必死に彼を追う。
階段を降り、お祭りの出店を横切り、騒がしかった音がどんどん遠ざかっていく。

『はぁ……ゲ、ゲルたん！』

息を切らしながら彼を呼ぶと、やっと歩きが止まった。

『はっ、はぁっ…ど、どうしたの…？？』

「…ごめん。」

謝りながら振り向いた彼の顔は、悲しそうで…。

「Aが…男達に絡まれてて…すげーむかついて…。」

「…怖くなって。」

「俺は…Aとなかなか一緒に居られないし。」

「Aを持ってかれたらって思ったら…怖くなって。」

「ごめん…。引っ張って。」

そう言って私の手をゆっくりと撫でる彼の手が、いつもより冷たかった。

『……大丈夫だよ。』

その手を少しでも暖めたくて、両手で握り返す。

『私、ゲルたんが嫌って言わない限り、ずっとそばに居るよ。』

彼の手に力が入る。

「俺……絶対嫌って言わない。」

『じゃあ、ずっと一緒だね。』

「…A。」

彼に引き寄せられ、胸に閉じ込められる。

「…ありがとう。」

『ふふっ…。どういたしまして。』

私も彼の背中に手を回し、しばらく抱きしめあう…と。

「ねぇ…」

『ん？』

「キス…したい。」

ーー一気に体温が上昇する。

『…駄目…外だもん。』

「大丈夫、お祭りだし」

『……え？どういう理論？』

すると彼は私の耳元に唇をあて

「……しよ？」

身体を揺らしてしまったら最後。

『ちょっ……待っ……！』

「待たない」

重なった身体から、熱が移って。

「……待てない」

甘い唇に、噛み付かれる。

3.息も止まるくらいに

『そういえば、何お願いしたの？』
「教えな～い。」
(仕事とむすめん。これからも頑張ります。…あと、Aとこれからも、ずっと一緒にいられますように……)