めせもあ。短編集 (ページ19)

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熱く甘いキスを5題-ノックソ-3 ページ19

「…もし、好きな子の初めての彼氏になれたら……めっちゃ嬉しくなると思うで？」

『……のっくんも？』

「おん、俺もそう…思…う？」

俺？

何で今俺の名前が？

え？

まさか？

まさかまさか？？

驚きを隠せてない顔でAを凝視すると、Aも自分の失言に気が付いたのか、お酒で赤くなった顔がもっと赤くなった。

「…え？A？」

『…あっ！……えっと』

『初めて見たときから…素敵な人だな…とは思ってて。』

『ふざけてる時も…意外とみんなの事をみてたり』

『悩んでるメンバーがいたらさりげなく声かけてたり』

『……どんどん、気になってて』

『私、のっくんに「ありがとう」って言われると、凄く嬉しいの』

『だから…あの…私、のっくんの事……』

「ちょ！待って！！」

俺の遮った一言でAは断られると思ったのか、俯いてしまう。

『……あ、……ごめん。』

「あ！ちゃうねん！…違くて。」

「ちょっと、自分で言いたいねん。」

「A…俺もAと初めて会った時から」

「……好きや」

ここまで言って、Aはやっと顔をあげてくれた。
泣きそうな顔は一つ瞬きをしてからだんだん笑顔になっていく。

『……本当？』

「ほんま」

『恋愛経験ゼロだよ？…面倒とか、思うかもよ？』

「思わん！…俺がAの最初で最後の彼氏や！」

「……と、いうわけで今日は記念日やな！」

『…あっ！そっか！そうなんだね！！』

「飲むで～！……ビール飲む？」

『飲まない。苦い！』

そうやって不満顔のAも可愛いけど…

「俺の彼女になったなら、ビールに慣れてもらわんと…」

『…えっ！？』

ーーチュ。

『……苦い。』

「当たり前や、これがビールの味やで～」

『…キスってもっと甘いもんだと思ってた。』

「…嫌か？」

不安になって聞く

『……ううん…嫌じゃない。』

そういうAが可愛すぎて

『…ん』

何度も

「ほんなら…覚えて？俺の味」

何度も

『…ん…ふっ』

「……だんだん、甘くなってくるはずやから。」

1.恋の味を教えよう

君の唇がとても甘いから。
俺の唇も、きっと甘くなるはず…。