めせもあ。短編集 (ページ15)

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一言にときめく5題-気まぐれプリンス-2 ページ15

その後彼はすんなり手を放し、「気いつけや～」と笑いながら私に背を向けて去っていった。

その場に残された私は、彼に言われた言葉が処理できず、しばらくその場に立っていた。

『はぁ……。』

夜遅く、そこそこ混んでいる電車の中で溜息をつく。
結局あれから1ヶ月近くが経ち、その間のイベントや練習場でも……どーにもギクシャクしてしまう。
あきらかにぷんちゃんは私を避けて最低限の会話しかしていないし、その会話も私が緊張してそっけなく終わってしまう。

…周りからは「ケンカ？」「どうしたの？？」という質問の嵐だ……。

…ぷんちゃんはどうしてあんな行動をとったんだろう。
私が危なっかしいからなのか。
それとも……。

好き…とか？

…駄目だ。自惚れるな！
あんな優しくてカッコよくて性格も良い完璧超人が私なんかを好きになるはずがない！

電車に揺られながら、もう何度目になるだろう葛藤を振り払う。

はぁ…胸がザワザワする。
変な感覚。

変な……

変な……感触！？

考え事に夢中になりすぎて、お尻に当たる感触に今気がついた。

…さっきから少し当たってるな。とは思っていたけど、今はあきらかに私のお尻を触ってる！！

…き……気持ち悪い！

…悪い事って重なるもんなんだ。
ここ暫く痴漢なんてあってなかったから注意するのをすっかり忘れてた。
これ以上痴漢がエスカレートしないよう願いながら、逃げる作戦を練る。…次の駅ですぐ降りるってだけの作戦だけど。

『(扉が開いたらすぐ降りて、出口の近い方の階段は……)』

「ちょっとすみません。」

頭の中で逃げ道を考えていたら、急に聞き覚えのある声がした。