[オリジナル] 希望のこの世を (ページ2)

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0話-1:絶望ページ2

今日も失敗

ﾄﾞﾝ

三緒「す、すみません...」
「ﾁｯ」

この世はクソだ
もう生きてられない
消えたい

そう思い始めて何年経ったことか

ある日突然、幼い私にできた【絶望】
劣等感、孤独感、悲しみ、悔しさ
そんなものがずっと心を渦巻く

大学で友人はできた。
しかし、この【絶望】は消えはしなかった。
根拠のないこの空白は私自身にも埋められなかった。

その【絶望】は今日、増大した

今日は実験日だった
自分の劣等さを改めて感じ
もう何もかもどうでもよくなってきた

昔からいわれてきた
「どんくさい」「トロい」「ムカつく」
「こんなこともできないなんて」
言われたときは苦しくなかった
でも、その小さな種は知らず知らずに膨れていつの間にか花を咲かす
それがたぶん【絶望】
私の勝手な解釈だけど

三緒「わ......」

フラフラと歩いてきた
高台にある木々に囲まれた公園
町の夜景が見える

夜景の見える1mほどの塀に上る
かなりゴツゴツしていたのか手に傷ができた

私は無心でそこに手を打ち付けた
なんとなく、なんとなく
これからいなくなるならどうとでもなれ
気がすんだ頃、また夜景を見る
とてもキレイで、吸い込まれそう

一歩、その足を夜景に近付ける

あと少しと思った
その時

「何やっているんだ！」

腰に腕が伸びてきて、
そのまま現世に戻される。
誰かいるなんて思わなくて
驚いて目を見開く。

その人は私を抱えたまま後ろに倒れる。

「大丈夫？おや、涙流してる...怖かった？申し訳無い、手荒なことをして」

顔を後ろに向けるとゴツゴツとした手が私の目尻を撫でた。
スーツをきた男の人。いや、おじさん？
にしては綺麗。

「手も傷だらけじゃないか...。手当てをしよう。綺麗な手が台無しだ。」

三緒「な...で...」

「ん？」

三緒「なんで...私を」

助けたんだ。
私は絶望から逃れたかったのに。

「ここ、僕の思い出の場所でね。君の絶望の場所にしたくなかったんだ。
立てるかい？おいで。」

その人は私の手首を引き、立ち上がらせる。
その手を離さず、高台を降りていく。
着いたのは高台下の駐車場。
高そうな車が１台止まっている。
彼は助席のドアを開けて、そこに私を座らせた。

「手出して。」

私はその人に従い、両手の平を出す。

「水で流すよ。痛かったら言うんだよ。」

コクリとうなずく。

知らない人なのに、なぜこんなに言うこと聞いてるんだろ。
小学生の頃習ったのに
『知らない人の言うことを聞いちゃいけない』