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『おっと……そろそろ限界か。拘束を補強しながら時間を稼ぐってのもキツイね』
それでも20分は持たせた。
しかし、もう無理だ。
身体能力の強化に加え、拘束かかる呪力を消費し過ぎている。
『もっと効率の良いやり方あったんだろうな。後悔しても遅いけど』
完全に拘束が解け切る前に、私は再度移動を開始した。
あいつら硬すぎるんだ。
何度も致命傷を与えようと攻撃を仕掛けたが、全くダメージを受けていなかった。
『……じゃあ何で腕切り落とせたんだ』
最初にトラップで拘束した方の腕は割と簡単に落とせた。
何らかの条件が可能にしたのだろうか。
あの状況下では、片方の鬼が距離を取っていた。
一定の距離が空くと、戦闘能力に何か影響が出るのか。
『試してみないと分からないな。でも、今やるのは難し……ッ!!』
急に背筋が凍った。
進行方向からこっちに向かって何かが近付いている。
しかし、この不気味な気配には覚えがある。
『ま、まさか……君が来てくれたのか!』
数秒後、視界に彼の姿を捉えた。
それと同時に、鬼の爪が背後に迫っていた。
一瞬安心してしまったのが原因だった。
呪術師として気を一瞬でも抜いてしまうとは情けない。
いや、割と自分が思っている以上に限界だったのかもしれない。
多少のダメージは覚悟して攻撃を流そうとした。
しかし、次の瞬間視界がガラッと変わった。
『えッ』
「ダメだよ2対1なんて。卑怯だな」
庇うように片腕で抱きしめられた状態で、衝撃が鼓膜に響いた。
目の前には問題児の証である白地の生地。
助けてくれたのだ。あの一瞬で。
『お、乙骨』
「遅くなってごめん、Aさん。もう大丈夫だよ」
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作者名:梨色 | 作成日時:2021年8月30日 17時