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距離はかなり離したが、移動を止めた場合追い付かれるまで約30秒。
私は片方を狩るためのポイントを定め、トラップを仕掛けていく。
正直、自信はない。
上手く引っかかってくれればいいのだが、失敗した場合はおそらく負傷する。
『……あ〜早く応援来てくれないかな。まあ、要請してから15分も経ってないから無理か』
ボヤきながらもトラップは完成した。
あとは、鬼のどちらかが先に私の元に来るかだけだ。
『……来たね』
今立っている位置の真正面から1体が突っ込んできた。
すかさずトラップを発動し、その鬼は縛り上げられたかのように空中で身動きが取れなくなる。
もう1体はその様子を見て距離を取った。
『判断速いな。……それにしても硬いね。これで砕けないのか〜自信なくなっちゃう』
私の術式は他者に認識不可能な糸を生成して操るだけ。
伸縮性や強度等の変化は自由自在で、移動や今のような拘束、攻撃なんかもできる。
大抵の呪霊は最高強度の糸で縛り上げれば砕けるのだが、今回は例外らしい。
仕方なく私は刀で攻撃し、鬼の片腕を飛ばした。
そして、すぐに距離を取りもう1体の方へ注意を向ける。
『死角から来るよねそりゃ。私だってそうするもん』
背後から来た鋭い爪による攻撃。
刀で寸前で受け止めた瞬間、手が痺れた。
『重ッ!!』
予想はしていたが、やはり威力が強い。
私はしばらくの間交戦し、鬼の方にできた僅かな隙をついて頭部を蹴り飛ばした。
鬼は木に叩きつけられ、少し動きが鈍る。
その瞬間の逃さず、トラップを発動した。
『……やっぱ無理だよね。多分気抜いたらすぐ拘束解かれるし。さて、どうしよう。最初に拘束した方は腕再生してるし』
この鬼たちは反転術式が使えるらしい。
完全に不利な状況だ。
私は使えないんだ反転術式。
自分の術式で可能なのはせいぜい止血と縫合。
『理想は完全に反転術式が使えるようになることなんだよねチクショウ!!』
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作者名:梨色 | 作成日時:2021年8月30日 17時