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『ちょっと……かなりピンチよね? うん。見た感じ1級くらいだし』
刀を構え直し、集中力を高める。
どちらが先に動くかを見ている状態だ。
それにしても、2対1は流石に卑怯ではないだろうか。
応援を呼ぶためにも、とりあえず距離を取りたい。
先に動いたのは私だった。
『……やっぱそんな簡単に撒けないよね。知ってた知ってた』
2体の鬼を撒くため、林の中に入り木の枝を使って移動しているのだが、一定の距離を保って追ってくる。
普通に割とホラーな状況だ。
これが本当の鬼ごっこ。感覚的には増やし鬼。
鬼がどんどん増えて、最終的に大人数で追いかけられる感覚は苦手だわよ。
『……よし、応援要請はできた。一体誰が来てくれるのか……というか、間に合うかな』
たまに後方から鋭利な氷柱が飛んでくる。
当たったら確実にダメージを受ける。
幸いなことに避けられないわけではないから、ひたすら避けて距離を保つ。
できればそろそろ攻撃を仕掛けたいが、もう少し様子見だ。
『焦るな焦るな。柄じゃない。片方を手負いにできればちょっと楽になる』
トラップをいくつか仕掛けて、一時的に動きを止めようと試みようと考えた。
そのためには今よりもスピードを上げる必要がある。
『ちょっと無理しなきゃ……』
より練度の高い呪力を全身へ。
身体能力を極限まで高め、さらに移動速度を上げる。
空気抵抗をできる限り減らすため、上着は捨てた。
『後で回収しないと。面倒だけど』
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作者名:梨色 | 作成日時:2021年8月30日 17時