《限界メンバー》彼らと過ごす日々2

文系　cn ページ23

「そめさん、この星空を君ならどう形容する？」

俺の彼女は文学が好きだ、だから偶にこうして問いかけをしてくる。俺は別に文系とか理系とか無くて広い知識があるけど彼女の問いは難しいものばかり。

前は夕焼けだったしその前は確か人混みの中だった、何の前振りも無く突然言い出すからいつも困惑させられてる。

今頭上に広がる無数の星を眺めて必死に頭を巡らせるが大した言葉なんて浮かばない。小説とか何処かで見たことのありそうなありきたりな文くらいしか頭には出てこない。

星明かりに照らされた彼女の横顔を眺めながら少しだけそれに付け加えた。

『暗闇に浮かんで光に溶ける。あとは…君より劣る美しさを持つ、かな』

彼女があまり望んでないような歯の浮く台詞を吐く。気持ちには添えなかったけど本心は言えたしいいかと諦める、きっと彼女は呆れて笑うんだろうな。

「ふふ、時にはこんな掛け合いがあってもいいのかもしれないね」

予想外にも楽しそうに笑みを浮かべていた。

少し閉じられた瞼から覗く瞳が、俺の考え全てを見透かしているようでむず痒い。

騒がしいあいつらと居ると自分が大体まとめ役とか歳上のやりそうな行動をすることが多い。

けどそんな俺より一歩引いた視点から眺めている君の方がずっと大人びて見えるから一生敵わない。

余裕が崩れた顔が見たいとか少し歪んだ感情を持ってしまうのは許して欲しい、俺の好意が君の重荷にならないよう努力してるからさ。


俺の隣で君は言葉を綴るんだ。君の好きな事を共有してもらえるこの時が嬉しいから今日もまた楽しそうに話す声に耳を傾ける。

「君ありてこそ我あり、なんてね」

『ほんと敵わないなあ…』

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