《限界メンバー》彼らと過ごす日々

夜　yk ページ45

寝る前に少し彼と話したくなって待っているのだけれど中々起きてこない。彼が起きるまでの時間を潰すために煙草を手に取りベランダへ出る。

夜風に当たると少しあった眠気もすぐに飛んでいった。学生の頃授業で習った星座を思い出しながら空を見上げる。

懐かしいなぁ、こんなの習ってたっけ。あまり覚えていない学生時代を懐かしんでいるとベランダの窓が開いた。

やっと寝坊助が起きてきたな。振り返るといかにも寝起きといった雰囲気の焼きパンが立っていた。

「んー、おはよぉ。まだ起きてたんだね」

目を擦る彼におはようと返して時計を確認するともう夜中の2時だった。

いつの間にかこんな時間になってたんだ。時間も忘れて吸っていたせいか箱の中にはほとんど煙草は入っておらず灰皿には大量の吸殻が積み上げられていた。

この残骸を見ると少しだけ死を近くに感じてしまう。

「今日は沢山吸ってるね、煙草。…僕的にはやめて欲しいんだけどな。」

少し悲しそうにお願いする彼に罪悪感がわくが、こうなった原因は焼きパンにあるのも理解してよ。

『ごめんね。でもそういう焼きパンだって、生活習慣崩すのやめた方がいいと思うけど。」

少し素っ気なかっただろうか。突き放すような言い方に後悔し、先程の言葉につけ加える。

『私だって焼きパンの身体のこと心配してるの』

「そっか、ごめん。僕も直そうとは思ってるんだけどついお昼寝とかしちゃってさ」

困った様に眉を下げて笑う彼は本当に直す気があるのかは不明だ。

お互いの気遣いがすれ違っている感覚がどうにももどかしい。ただ私は焼きパンと一緒に居る時間を増やしたいから、生活習慣を直して欲しいだけ。

『私、煙草やめようかな。長生きしたいし』

この言葉の意図を汲み取ってくれたのかは分からないが彼は私の隣で微笑んだ。

「僕も生活習慣ちゃんと直すね。Aと一緒に居たいから。」

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