《限界メンバー》彼らと過ごす日々

秋　tr ページ44

2人で紅葉を見にわざわざ遠くの公園に出かける。なんでこんな遠い所に…と思ったけれど彼曰く遠出という事実が大事らしい。

確かに目に映る景色はいつもとは違うもので、何か特別感を感じる様な気もする。

木々は見事に赤や黄色に色付いていてその鮮やかな色達に目を奪われる。

こういうの秋って感じかして好きだなぁと思いつつ歩みを進めていく。

公園には焼き芋の屋台が来ていて彼が食べたがっていたので買うことにした。

彼のマフラーのように紅くなった道を歩きながら焼き芋を頬張る。

猫舌だからこういうのは食べる時に苦労する。はふはふと口の中を冷ましているとたらこが笑ってきた。

別におかしいことないでしょ、そりゃあ猫舌じゃない人には分かんないかもだけど…

不服の意を込めて睨むが軽く頭を叩かれて流されてしまった。

逆だなぁ、いつもだったら私が彼をいじって遊んでるのに。時々見せてくるこの余裕な表情にドキッとしてしまう。

漢字が読めなかったり天然が入ってたりするたらこの癖に、カッコいい一面を見せられるとずるいと思う。

一緒にいると知らなかった一面を発見することも多いが幻滅したことなんてないし寧ろ一層好きになる。

彼といると時の流れがあっという間だ。毎日が楽しいんだ、時間なんか忘れるくらいに。

だからこそ一緒に季節を感じたい、なんて彼に染まっちゃってるよなぁ。

『遠出も偶にはいいかもね。たらこと一緒なら何処でも楽しいし』

そう笑いかければ彼はマフラーで口許を隠しながら頷いた。今照れる要素なんかあったっけ。

「不意打ちで可愛いこと言わないでよ」

繋いでいた手を引かれ彼に寄り掛かる体勢になる。顔を近づけられ耳元で俺もAとなら楽しいよと囁かれた。

恥ずかしくなって慌てて距離を取ると顔が真っ赤だと笑われてしまった。


そういう君の顔も紅葉みたいに赤くなってるんだけど

夜　yk→←春　ar

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