《限界メンバー》彼らと過ごす日々

春　ar ページ43

※学パロです

セーターの似合う彼の若葉のような髪色はいつも柔らかい雰囲気を醸し出している。

ふわふわとしたボブの髪型に丸眼鏡、側からみれば好青年といった感じだろうか。

しかし彼自身はそんな見た目とは裏腹に人に悪戯を仕掛けて成功しては無邪気に笑う様な性格だ。

「美しい花には刺がある」というのはまさにこのことだろう。

そんな彼と出会った場所、この高校とは今日でもうお別れだ。

3年間なんてあっという間に過ぎていったのは彼のおかげだと言うべきか彼のせいだと言うべきか。

しかしまあ楽しい学園生活を送れたことには変わりはない、騒がしい友達も増えたことだし。

さっきまでそいつらと色々話していたが最後くらい、とあろさんと2人きりになることにした。

誰もいない校舎裏まで来て今までの思い出を振り返って話す。ほとんど他愛もないことだけど改めて思い返すと感慨深い。

すると彼の頭にヒラヒラと桜の花弁が１枚落ちてきたので屈んでもらい頭からその花弁を取ってあげる。

「その花弁ちょっと貸してよ」

と言われたので不思議に思いながら渡すとありがと、と微笑まれた。

その後考え込むように花弁を見つめていたが何か思いついたのか口を開いた。

「どうせだし押し花にして栞でも作らない？」

『いいじゃん、やっぱりあろさんってセンスあるね』

褒めても何も出ないよ、なんて言う彼はほんと素直じゃない。慣れてないからそうやって誤魔化してるんでしょ。

そんなこと言ったら怒られそうだし黙っておくけどね
代わりにそろそろ帰ろうかと言う。

時間もいつの間にか大分経っているので打ち上げに遅れないようにしないと。

高校で会うことはもう無くなるけど次は大学があるから特に変わらないし今まで通り。

あ、そういば忘れてた。卒業式といえばあの恒例行事があったな。

『ねえ、第二ボタン頂戴』

別に離れるわけでもないしどうしても欲しかったわけじゃない、ちょっとしたおまじないみたいなもの。

彼から大事にしてよと渡された第二ボタンを無くさないように鞄に入れる。

「ほら、帰るよ」

と言いながら差し出された手を握る。

学校生活は君のおかげで楽しかったよ。だから
これからもよろしくね、あろさん

秋　tr→←冬　gn

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す