記憶 gn ページ16
あとちょくちょく題名間違えててすみません。気付いた時に直してます…
とても幸せだった、これ以上にないと思うほどに。そう思えたのもきっと彼がそばに居たからだ。
突然激しいブレーキ音が鳴り響いた。咄嗟に振り返れば目の前には大型トラックが。
『(もう間に合わない)』
そう思って目を瞑る。そこで意識は途切れた。
…どれくらいだろうか、とても長い間寝ていたような気がする。
目を開けようとしたが久しぶりに感じる光に顔を顰める。
ようやく光に慣れて目を開くと私の手を握ったまま寝ている男性がいた。
とりあえず起こそうと背中を軽く叩く。
すると急に起き上がり目を見開いて動かなくなった。困惑しどうしようかと迷っていると目の前の彼に抱き締められた。
「よかっ、た…!もうほんとにダメかと思ったぁ…!!」
もう離れないとでも言うかのように抱き締める力がだんだんと強くなる。
しかしそんなことを気にする前にずっと気掛かりなことがあった。
『あの、どなたでしょうか?』
誰かも分からないその人は私から手を離し後退りをした。この状況に動揺しているようだった。
「っ…え?じょ、冗談だろ?それかまだ脳が起きてないとか。ほら目覚めたばっかりだしな」
私の質問を否定したいかのように早口で推測を語る。
だがどれも違うと思う。冗談を言っているつもりはないし、もう意識はハッキリとしている。
『いや、あの…すみません。分からないんです』
何処か見覚えはあるのだ。だが彼のことを思い出そうとすると、そこだけが空白のように抜け落ちていて何も分からない
「俺、げんぴょんだよ?今悪ふざけするのはやめろって…」
最後の希望に賭けるかのように弱々しく笑いながら肩を掴まれる。
『ご、ごめんなさい…思い出せなくて…』
そう告げると彼の瞳から一粒の涙が流れる。その姿を見ると心がとても痛む、それはまるで彼を泣かせてはいけないという忠告であるように感じる。
「そっ、か…ごめん、不安がらせちゃった?じゃあ俺もう行くから」
あからさまに作っていると分かる笑顔で足早に彼は病室を立ち去っていく。
行かせちゃダメだ
脳の全てが訴えてくる。
彼のことが分からない筈なのに
少し癖毛な黒い髪も、全てを魅了してしまいそうな程綺麗な薄紅色の目も、その姿全部が忘れてはいけないものだと。
次に続きます!
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白いアスパラ - めちゃくちゃ好きです!需要しかない…続編更新楽しみです! (2020年5月29日 15時) (レス) id: 72a8b58e62 (このIDを非表示/違反報告)
伯爵(プロフ) - 逆音つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色さん» そう言ってもらえて嬉しいです…!!この作品が完成したら続編を作ろうと思います! (2020年5月17日 4時) (レス) id: 3c3807f15d (このIDを非表示/違反報告)
逆音つらら@ちゃげっ娘。鬱紺色(プロフ) - 需要...需要しかないです...ください続編...()毎回毎回楽しませて頂いてるので、ぜひ、無理のない更新頻度でこれからも頑張ってください! (2020年5月17日 2時) (レス) id: 9e136fef77 (このIDを非表示/違反報告)
伯爵(プロフ) - 羅忌*ベルーガさん» ほ、ほんとですか?!ありがとうございます…!応援とても嬉しいです! (2020年5月17日 2時) (レス) id: 3c3807f15d (このIDを非表示/違反報告)
羅忌*ベルーガ(プロフ) - いつもほのぼの気分で読ませて頂いております!続編の事なのですが、私は需要あるなって思います!では、更新頑張ってください!! (2020年5月17日 1時) (レス) id: b3da06cea4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伯爵 x他1人 | 作者ホームページ:今のところはありません
作成日時:2020年4月23日 7時