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外で待ち合わせなんていつぶりだろうか。
わくわくして自然に上がってしまう口角を人差し指でむにむにと揉みながらそんなことを考える。
もしかしたら、ただのデートだけかもしれないけれど同棲しているのにそれはないだろうと自分で疑問を挙げては自分で解決する。
『もうすぐつくよ！』
『今日のデート、楽しみだね！』
愉快な通知音が幸せを運んでくる。
文面を見るだけでニヤついてしまって、思わず周りを確認する。
こんなの及川に見られたらめちゃくちゃ弄られるし。
『あ！こうちゃん見えた！』
スマホからバッと顔を上げて周りを見渡すと、前方ににこにこと笑った及川が見えた。
「あ、とーる！遅い！」
こちらを向いて大きく手を振ってくる及川に身体が大きいんだから人にぶつけるなよ、とヒヤヒヤする。
と、思った瞬間及川の動きが止まる。
そしてあからさまに焦った表情をする及川。
「っ、こうちゃんっ！！！！！」
「え、っ、？」
及川が叫びながら駆け寄ってきたと思えば、俺の身体を突き飛ばしてくる。
目の前を通るトラック。
そして、劈くようなブレーキ音。
「とぉ、る、っ、？」
「っねぇ、！！とーる、どう、したの？とーる、？」
及川が、動かない。
なんで、どうして。
周りの人がぞろぞろとやってくる。
「この子の友達か！？」
「ぁえ、ぁ、っ、はい、っ」
「見ちゃダメだ！！誰か、この子を後ろに！！」
誰かが肩を貸してくれて、及川と事故の惨状を見えないようにしてくれた。
でも、お礼も言えなくて、ただただぼうっとしていることしかできなかった。
誰かが及川に呼びかける声。
誰かが救急車を呼ぶ声。
誰かの小さな悲鳴。
全部、全部、雑音に聞こえて。
耳を塞いでしまいたくて。
暗闇の中に意識が引き込まれていく気がした。
続く (更新停止中)
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作者名：ハンムラビ法典は私が作った | 作成日時：2022年10月4日 20時
