おいでよ ページ7
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わたしの不満そうな態度が気に食わなかったのか、お母さんはなんだかむすっとした声を出し始めた。
「えーーお母さんに会いたくないんだぁーー…」
「い、いや…そういうわけじゃ…」
「おいでよ…おいでよあわみやの森…」
「いや私も泡宮だよ何言ってんの」
たじろいでいるわたしを見兼ねて、環くんが「A」と話しかけてくる。ぽりぽりと頰をかくと、手を伸ばして
「俺、代わろうか」
と言った。
その言葉はまさに助け船で、私がお母さんに「環くんにかわるねっ」と言えば一気にキラキラした声に変わってしまうほどだ。
「ほんと!?うん!わかった!早く!」
「はいはい、、」
ごはん中にごめんね、と念押しをして、環くんに携帯を渡した。慎重に受け取ったそれを、彼は耳に当てる。
「……もしもし」
お世話になってます〜〜というワントーン高い声が携帯から漏れ出している。「いや、お世話になってるのはこちらですよ」と環くんは謙虚に返していた。
その後も環くんは「はい、」「あー…はい」「まあ、わかりました、はい」と肯定の言葉ばかりを続けていた。
もしかすると向こうに行くのオッケーしちゃったかな?そう不安がよぎる中、環くんの「ありがとうございます」という締めっぽい言葉が聞こえてきた。
「では…はい…失礼します」
携帯から耳を離して、通話終了ボタンをタップする。環くんはこちらを見て、ひとこと「…A、ごめん」と言った。
「流されちゃった」
「……でしょうねえ〜〜行くしかないのかあ…」
うーーと言いながら、やけくそ気味にカレーのスプーンをぶんぶんと振る。環くんはもう一度「ごめん」と繰り返した。
「大丈夫だよ、あのお母さんに流されんのはしょうがない!行こ!」
「…うん」
かちゃかちゃとスプーンと皿がぶつかり合う音の中、「ご馳走様でした」と2人で言う。
流しに置いて水を出し、協力して洗い物を終わらせた。
「美味しかった?」
「うん、でもなんか辛かった」
「唐辛子5こ入れてみた」
「え?」
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詩月 - 少し気になっただけなのですが、詩月、って知りませんか?Twitterで仲良くして貰っていた子も、のの、だったので。無視して頂いて大丈夫です。作品面白かったです。 失礼しました。 (2018年7月1日 15時) (レス) id: 2f2bddb1c8 (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - ののさん» いえいえ、大丈夫ですよ!気にしないで下さい……! 私が勝手にコメしてるだけなので……(笑) 作者様のご都合もあるでしょうし、 何時でも待っますので!!(笑) (2018年1月20日 21時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 木乃狐さん» 木乃狐さん、またコメントしてくれてありがとうございます!みなさんのお陰です、これからも頑張りますね!返信遅くなってしまい申し訳ありません。 (2018年1月20日 12時) (レス) id: d43f97ddad (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - 以前コメントさせていただいた者です……。 評価100超えおめでとうございます! 凄いですね、流石です! ……それだけいいに来ました……すみません!! (2018年1月5日 7時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - ミルクココアさん» 1から読んでくださり、ありがとうございます!はい、更新頑張ります◎ (2017年11月11日 14時) (レス) id: 3242c5aeef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2017年10月1日 3時