番外編 はつもうで ページ19
．
外に出るとすこしだけ吹いた冬の風が体を震わせた。羽織ったチェスターコートの袖をすこし指先まで引っ張って握りこむ。
「やっぱり着物とか着て可愛くした方が良かったかなぁ…？」
「いや、いいよ」
そのまま喋りつつも、近所にある神社に到着。
『彼氏と初詣♡』感が全く以ってないような雰囲気のまま鳥居をくぐったが、その向こうには着物を着たカップルが所狭しといちゃついている。
「うわあ…」
「こら環くん、うわとか言わないの！」
「Aは俺の母親か…」
「いや、ちがうけど…！」
大体、自分たちが来たのはイチャつくためではない。おみくじ対決だ。
はじめての２人での年越しを迎えて、カウントダウン、年明けの祝い、お互いへのお年玉(プラスマイナスゼロのお約束)。
ここまでは満足する内容だったのだが、おみくじの話が出てしまって、それが冬休み入って以降ろくに外に出ない２人を外に出す後押しとなった。
某「オッケー〇ー〇〇」やら「ヘイ〇〇」やらは、何度対決しても２人ともなんとも言えない運勢ばかり出た。
これはもう実際神社で運試しをするしかない、と話し合いの末決まって出て来たのだがこの混みようだ。あと何十分経つことか。
「暇……しりとりしよう、環くん」
「うん…じゃぁ、霜降り肉」
「クジャクのホルモン！…あ」
「なんなの…やり直すよ、リスのドングリ」
「んとねーーリンゴと…」
「リンゴでいいじゃん」
「リンゴとヨーグルトのパン！…あ」
「A…バカじゃないのか」
そうこうしているうちに自分たちの番が来て、小銭を出して箱から折りたたまれた紙をとった。
すこし離れたところに２人で行って、折られた紙を開く。目をバッと見開いて、口を先に開いたのは環くんだった。
「…大吉」
「えっ！わたしはね…あっ」
あまりの喜びににやにやとしてしまう。その紙には大きく「大吉」と書かれていた。
すると、にやにやしていたのが不思議だったのか、環くんが横から覗き込んで来た。
急にくるシャンプーの香りに驚いたが、そのシャンプーの香りは自分と同じなんだな、とか場違いなことを考えて嬉しくなってしまう。
「Aも大吉か」
「うん！一緒だね」
結局は対決どころじゃなく。
素敵な一年にしよう！と２人で約束して、帰路に着いた。
「んん、やっぱ着物着た方がよかった？」
「いつまで言うの…それ」
．
続く (更新停止中)
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詩月 - 少し気になっただけなのですが、詩月、って知りませんか？Twitterで仲良くして貰っていた子も、のの、だったので。無視して頂いて大丈夫です。作品面白かったです。 失礼しました。 (2018年7月1日 15時) (
レス) id: 2f2bddb1c8 (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - ののさん» いえいえ、大丈夫ですよ！気にしないで下さい……！ 私が勝手にコメしてるだけなので……(笑) 作者様のご都合もあるでしょうし、 何時でも待っますので！！(笑) (2018年1月20日 21時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 木乃狐さん» 木乃狐さん、またコメントしてくれてありがとうございます！みなさんのお陰です、これからも頑張りますね！返信遅くなってしまい申し訳ありません。 (2018年1月20日 12時) (レス) id: d43f97ddad (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - 以前コメントさせていただいた者です……。 評価100超えおめでとうございます！ 凄いですね、流石です！ ……それだけいいに来ました……すみません！！ (2018年1月5日 7時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - ミルクココアさん» 1から読んでくださり、ありがとうございます！はい、更新頑張ります◎ (2017年11月11日 14時) (レス) id: 3242c5aeef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：のの | 作成日時：2017年10月1日 3時
