いただきます ページ14
.
わちゃわちゃしながら出来上がったのは、至ってふつうのかつ丼。
Aが本当に輪ゴムを入れてしまうのかが心配でたまらなくて、ついには自分もキッチンに立ってしまった。でもその最中、邪魔になってないだろうか、と思うたびにそれは口に出ていて、「大丈夫」とか「卑屈になんないで」ってAがずっと声をかけてくれていた。たまに「うるさい」とも言われたけれど。
キッチンにある窓を開けると、涼しい風と陽の光が差し込んでくる。
ああ幸せだな、と思うとそれだけで心の中がなんとも言えない暖かい気持ちに包まれる。誰かを好きになるということの大切さをしんみり感じた。
4人で食卓を囲んで両手を合わせて、小さく「頂きます」と言ってみる。なんだか自分が婿養子に入ったような光景に見えて、ちょっとだけ耳が熱く感じた。
ふやふやに柔らかくなった衣の上に乗った溶き卵と一緒にご飯を箸で掴み、何度か息を吹きかけて口に入れる。ほんのり香る塩っぱい感じが良い。
不意にこぼれていた笑みを見て、Aも「ふふ」と微笑んでいる。
「Aだから心配はしてなかったけど、本当に良かった」
そう言ったAのお母さんは「ね」とお父さんに向かって笑いかけた。
「今日と明日だけだけどゆっくりしていってね」
「はい、…ありがとうございます」
とりあえず、第一関門は突破したということだろうか。隣でごきげんに頰いっぱいかつを詰め込んだAがまた「ふふ」と言いながら俺の耳をつかんでくる。
負けじと頬をつねったらその顔がどうにも面白くて、2人で噎せた。
.
261人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
詩月 - 少し気になっただけなのですが、詩月、って知りませんか?Twitterで仲良くして貰っていた子も、のの、だったので。無視して頂いて大丈夫です。作品面白かったです。 失礼しました。 (2018年7月1日 15時) (レス) id: 2f2bddb1c8 (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - ののさん» いえいえ、大丈夫ですよ!気にしないで下さい……! 私が勝手にコメしてるだけなので……(笑) 作者様のご都合もあるでしょうし、 何時でも待っますので!!(笑) (2018年1月20日 21時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - 木乃狐さん» 木乃狐さん、またコメントしてくれてありがとうございます!みなさんのお陰です、これからも頑張りますね!返信遅くなってしまい申し訳ありません。 (2018年1月20日 12時) (レス) id: d43f97ddad (このIDを非表示/違反報告)
木乃狐(プロフ) - 以前コメントさせていただいた者です……。 評価100超えおめでとうございます! 凄いですね、流石です! ……それだけいいに来ました……すみません!! (2018年1月5日 7時) (レス) id: 80a40f84b1 (このIDを非表示/違反報告)
のの(プロフ) - ミルクココアさん» 1から読んでくださり、ありがとうございます!はい、更新頑張ります◎ (2017年11月11日 14時) (レス) id: 3242c5aeef (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:のの | 作成日時:2017年10月1日 3時