てへぺろ ページ7
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ガラリと慎重にドアを開ける。教室の中には、ガヤガヤと騒ぐ3年生がいる。
少し教室の中をきょろきょろと見回してみると、
奥の方に環くん、そしてミリオくんにねじれちゃんがいた。
じいっとそこを見つめていると、ドアのすぐ近くにいた先輩が私に声をかけてくれた。
「誰か探してるの?」
「あ、はい!えっと、環く…天喰先輩です」
いつもの調子で名前を呼びそうになって、慌てて言い直す。
その先輩はンッ?と怪しい笑みを浮かべて、ニヤニヤとしながら後ろを向いた。
「天喰ね、おーーい!!天喰!!かわいい後輩ちゃんだよ」
「いや、かわいくないです……!!!」
慌てて顔の前に両手を出し左右に振る。
そのまま覆った手、指の隙間から環くんをちらりと盗み見ると、
顔を真っ赤に染めているのが見えた。
ミリオくんの笑い声が教室に響く。環くんはのそりと立ち上がってこちらに歩いてきた。
怒られちゃう、と危惧した私はぎゅっと目を瞑った。
「…ねえ」という声が頭上から聞こえて、目の前に環くんが来たのを感じ取り
おそるおそる目を開けた。
「た、環く、ごめ___っ
んむ、っ!?」
急に頰に手を当てられぎゅっと押された。その拍子に私は一気にタコみたいな顔になる。
ビックリした私は目がぱっと見開かれる。環くんが私の両側のほっぺを押す両手手首を、私自身の両手でつかんだ。
「む、やめ、」
「今日超おいしかった」
目を細めてにこりと口角を上げた環くん。
目玉出るんじゃないかってくらいおでこが上に上がる。
グッと私のほおを押さえていた手がゆっくり離れて、ここぞとばかりに口を開いた。
「……っそっか、だってそれ
私のために作ったやつだったから…」
「ええ………」
落胆した表情をする環くんに、本当は環くんの弁当だったものを差し出し蓋をぱかりとあけた。
「じゃあさ、卵焼きだけでも食べてっ!!これとっておき!!!」
2人して教室の出入り口に立ち止まりながら、
箸で弁当箱の卵焼きを取ってそれを環くんのぽかんと開いた口に突っ込む。
ビックリしたまま口を閉じて、もぐもぐと動かす。とたんに目尻が歪み、ごくりと喉が動いた。
「まっず」
「よし、帰ったら個性みせて」
あとは私が食べる!と手を振って、教室から出た。
小さく手を振る環くんが可愛く見えちゃったなぁ、とか考えながら自分の教室へと戻る。
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宮垣 - 天喰くん可愛い。けどナメクジって確か寄生虫ヤバいんじゃ… (2018年2月24日 21時) (レス) id: e5668725a2 (このIDを非表示/違反報告)
水仙(プロフ) - 天喰くん可愛いwそして主人公食料調達すごすぎw (2017年12月7日 22時) (レス) id: 2af43545d8 (このIDを非表示/違反報告)
谺(こだま) - 天喰さんがわいい (2017年11月21日 16時) (レス) id: cb3a1973eb (このIDを非表示/違反報告)
ミルクココア - 天喰君可愛いです!めっちゃ楽しみにしてマス! (2017年10月14日 22時) (レス) id: 4473a635a2 (このIDを非表示/違反報告)
ミルクココア - 面白いです!続編もものすごくいいです!頑張って下さい! (2017年10月14日 22時) (レス) id: 4473a635a2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:のの | 作成日時:2017年7月27日 20時