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episode 22:初めて ページ23

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カフェを出ると、空はすっかり日暮れていた。先程の告白の余韻がまだしっかりとあって、気持ちはどこかフワフワしている。


侑くんは明日も朝練あるだろうし、早めに解散した方がええかなと考えていると、「なあなあ」と少し上から声が降ってきた。





侑「ぎゅうすんのもうちょい我慢するから、とりあえず手ぇだけ握ってもええ?」

『……へ……!?』





じい、と見つめられて目を逸らせない。





『うん、握ってええです……』

侑「! ほな、失礼します……」





侑くんはパアッと嬉しそうに笑った後、恐る恐るというふうに私の手に触れた。そのままするりと指を絡めて、所謂″恋人繋ぎ″というものをする。


ぎゅ、としっかり握り合った手を2人して見つめていると、ふと侑くんが口を開いた。





侑「待って、口から心臓出そうや。むっちゃ緊張しとお」

『え!?そ、それはアカン、飲み込んで』

侑「無理……嬉しいのと恥ずいのと緊張しとるので、なんかもうよお分からんくなってきた。俺どんな顔しとる?」

『……初めて見た顔しとる、色々混ざった顔』





その顔が少し面白くてつい笑うと、「恥っず……」と眉を下げた。慣れてないのバレバレやんけ、と続けて呟く侑くんに私は思わず握ってる手に少し力を込めてしまう。


それに気付いた侑くんが驚いた顔で「Aちゃん?」と私を見た。





『……慣れてなくてええ。慣れてるほうが、イヤ』





かあ、と頬が熱くなる。恥ずかしいこと言うたかも、と自覚してちらりと侑くんを見ると、ぱちぱちっと数回瞬きをした後、顔を赤らめてフイッと顔を逸らした。





侑「心配せんでも、ぜんぶAちゃんが初めてやから、そのお……安心してくだ……サイ」





ぎこちない標準語にまた笑ってしまった。そんな私を見てすごく恥ずかしそうに、「俺カッコ悪いわ〜!」と空いてる方の手で顔を覆っている。


私は 侑くん、と名前を呼ぶと、「……なん」とこちらを見る表情が可愛くて、愛おしくて仕方がない。





『ふふ、安心しました、ありがとお』





そう言った私に、ギョッと目を丸くして驚いた後、「なんなんそれえ」と子犬みたく眉を下げた。





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佐野 愛(プロフ) - 侑がピュアやぁぁぁ!!尊い!! (3月5日 21時) (レス) @page23 id: c62a8ec195 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - リア充共幸せになれよ!!!! (2021年4月6日 8時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)
魚座(プロフ) - あおいさん» コメントありがとうございます!嬉しいお言葉まで、。(T_T)もうあと数話で完結予定です〜!最後まで楽しんで頂けたら幸いです! (2021年4月4日 18時) (レス) id: 6a1de1dd31 (このIDを非表示/違反報告)
あおい(プロフ) - 更新待ってました! もう最高にキュンキュンします(;ω;) やっとくっついてくれて、またすきの記録読み返したいと思います(*^^*) (2021年4月4日 8時) (レス) id: 825fc18cb7 (このIDを非表示/違反報告)
アリス(プロフ) - 魚座さん» それは私も聞きたい、、(遠い目) (2021年3月19日 1時) (レス) id: 5459160ee1 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:魚座 | 作成日時:2021年3月17日 18時

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