さんびゃくきゅうじゅうよん。 ページ37
A 「ｯ……ここは」
私の周りを舞っていた桜たちが消えた感覚がして目を開けると、そこにはいつも瞼の裏にこびりついて離れなかった見慣れた風景があった。雪がしんしんと降っていて、手を伸ばせばそこに結晶が落ちる。
転移は成功したみたい。それなら、あともう少しで役人たちが此処を通るはず……、
『本当にこの山であっているのか？』
『間違いない！』
『あぁ、ちゃんとこの目で見届けたからな』
A 「……来たわね」
私の元主と、その奥方を無惨にも殺した人間たち。出来ることならば此処でめちゃめちゃに切ってあげたいところだけど、そんな事をしたら皆に迷惑を掛けるだけじゃなく、蛍や国俊に悲しい思いをさせてしまうわ。だから、しない。
私だって、歴史を守る刀剣としての誇りをそう易々と捨てたくは無いもの。
近くにあった立派な木の陰にさっと隠れる。その木の前の山道を、役人たちは急ぎながら通って行った。
A 「すぐ上にはあの人たちのお家があったから……あの人ももう直ぐ此処を通るわね。念の為、木の上にでも移動しておきましょ。」
ちょっと失礼するわね、と心の中で木に告げて、その上、これまた立派な木の枝に飛び移る。枝に足を置いて安定した数分後に、あの人が上機嫌そうに鼻歌を歌いながら歩いて行った。
そんな余裕ぶっこいてる暇ないわよ馬鹿！！と突っ込みたくなる気持ちを抑えて、私は木々を伝いながら彼の後を追った。その時、ピタリ、と彼の足が止まる。
＿＿＿＿いけない、気付かれたかしら？
『何だろう、この足跡。人間のみたいに見えるけど……誰かが迷ってしまったのだろうか。』
何だ、足跡に気が付いただけね。私がホッと胸を撫で下ろすのと、彼がまた歩き出したのは同時だった。この後彼は、家でもう何年も前の容疑で自分を追って来た人間と再会するのよね。
妻に言われるがまま屋敷を逃げ出し、そして戻って来た頃には、最愛の人はその儚い命を散らせていた。
＿＿＿なんて、悲しいお話なのかしら。
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まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 華音さん» ひぇ……本当いつもありがとうございます！こう言ってはなんですが凄く助かります笑(いつもすみません)更新頑張ります！ (2020年7月1日 20時) (
レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんにちわ( ´ ▽ ` )お久し振りです。早速最新話読ませて頂きました♪ですが最後の辺りで文章に誤字が御座いましたので^^;御報告を致します。誤「白夜さんが変え出てくる」→正「白夜さんが帰って来るのは」ですね☆それでは次のお話を楽しみにしております(*^^*) (2020年6月30日 14時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Ａ | 作成日時：2020年6月16日 23時
