さんびゃくはちじゅうよん。 ページ27
私がやっと生まれた国へ帰って来たのは、作られてから数年後のことだった。その時の持ち主が、丁度この国に用があったらしいのね。久し振りの母国(って言って良いのか分かんないけど)に、私は少しだけ心躍った。
けれどそれと同時に、国行が、私を打ったことを忘れてるんじゃないかって、心配でもあったの。
喜びと不安が混じり合ったような複雑な気持ちで国に入ったわ。その時がお昼時だったこともあって、私の持ち主はお蕎麦屋さんに入ったの。私はそこのお店で、近くに座っていた商人たちから、衝撃的な話を聞いたの。
『なあ知ってるか？刀工国行が打った、って言ってる刀のこと。』
『勿論だ。国行が打ったその日の夜に姿を消したっていう刀だろう？確か名前は……あぁそうだ、国華だ！……ただ、それは本当の話なのか？』
『分からねえ、だが、国行は今でもその国華を探してるみたいだぜ。』
『そりゃご苦労なこったな。しっかし、作ったその晩に消えちまうとはなあ、国行が見た幻とかじゃねぇのか？』
『あぁ、あまりにも見つからねえもんだから、その刀に“幻刀国華”って名前がついちまったくはいだ。』
『幻刀、幻の刀か！』
……国行が、私を探している！
その情報だけで、私は飛び跳ねたくなるくらい嬉しかった。国行は、私を忘れないでいてくれた、ずっと覚えていてくれたんだわ！
帰りたい、国行の元に帰りたい！途端に、私の心は帰りたいという思いで一杯になった。誰か、私を国行の元に送り届けて頂戴、私は国行の刀よ、それなら国行のところにあるのが妥当ってもんでしょ！
何回持ち主が変わっても私の心は変わらなかった。きっと、この気持ちが天に届いて、私は国行の元に帰ることが出来るはず。そう信じて、祈り続けた。
……でも結局、私は国行のところへ帰って来れなかった。私が祈り続けている間に鎌倉時代は終わって、そして、ついに国行は亡くなったの。
死ぬ直前まで、私のことを探していたらしくてね、死に際の言葉は「必ずお前を見つけ出す」だってさ。死んだら、見つけ出せるわけないじゃないの。
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まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 華音さん» ひぇ……本当いつもありがとうございます！こう言ってはなんですが凄く助かります笑(いつもすみません)更新頑張ります！ (2020年7月1日 20時) (
レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんにちわ( ´ ▽ ` )お久し振りです。早速最新話読ませて頂きました♪ですが最後の辺りで文章に誤字が御座いましたので^^;御報告を致します。誤「白夜さんが変え出てくる」→正「白夜さんが帰って来るのは」ですね☆それでは次のお話を楽しみにしております(*^^*) (2020年6月30日 14時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Ａ | 作成日時：2020年6月16日 23時
