さんびゃくななじゅうきゅう。 ページ22
翌朝、彼は珍しく朝早くに起きたの。私という刀が本当に手に入ったのか、不安に思ったのね。彼は布団からガバッと起き上がると、急いで昨日私を包んだ羽織を暴いた。勿論、まだ私はそこに居たわ。
『夢では無かった！本当に、この刀を手に入れることが出来たんだ……！』
安心しきった彼は、思わず大きな声を出して、私をきゅっと抱き締めたわ。けれどその時、偶然朝の支度をしていた彼の奥さんが、目の前を通ってしまった。
そして勘の良かった彼の奥さんは、昨夜の様子がおかしかった彼と、ついさっきの彼の言動から、今彼が抱き締めている刀が、誰かから盗んだものだと分かってしまったの。
奥さんは慌てて彼に近寄ると、「なんてことをしたんだい！」と彼を叱り付けた。
『ち、違うんだ！これは……、これはッ！』
『言い訳なんか聞かないよ！早くこの刀を元の持ち主のところに返して来なさい！』
『無理に決まってるだろう！この刀は……、師匠から盗んだものなんだ……』
彼の言葉に、奥さんは「なっ……！？」と目を見開いた後に、大きく顔を歪めた。続けて彼女はこう言ったわ。
『自分を育ててくれている師匠から刀を盗んで来ただなんて、なんて恩知らずな！』
『だが……！』
それでも言い訳をしようとする彼に、奥さんは我慢が出来なくなったのね。彼から強引に私を奪うと、山にある国行の鍛刀場に向かって走り出したわ。そう、彼の奥さんは正義感がとても強い人だったの、旦那が行かないなら私が行って、それで土下座でも何でもするつもりだったの。
着物で、しかも下駄を履いている彼女の走る速度は遅かったけれど、彼女は早く返そうという一心で山道を登り続けた。そして、山の中腹に差し掛かった頃……、
『あの女が持っている刀……、中々の業物に違いない、きっと金になる。』
彼女は、私を持っていたせいで山賊に襲われ、命を落とした。
山賊は血に濡れた彼女の腕から私を乱暴に奪うと、鞘から私を抜いた。そして、山賊の男は「おぉ、」と感嘆の声を漏らす。
『なんと、美しい刀よ……』
私は一日と経たず、二回も強奪された。
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まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 華音さん» ひぇ……本当いつもありがとうございます！こう言ってはなんですが凄く助かります笑(いつもすみません)更新頑張ります！ (2020年7月1日 20時) (
レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんにちわ( ´ ▽ ` )お久し振りです。早速最新話読ませて頂きました♪ですが最後の辺りで文章に誤字が御座いましたので^^;御報告を致します。誤「白夜さんが変え出てくる」→正「白夜さんが帰って来るのは」ですね☆それでは次のお話を楽しみにしております(*^^*) (2020年6月30日 14時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Ａ | 作成日時：2020年6月16日 23時
