さんびゃくろくじゅうはち。 ページ11
明石 「過去は、過去や。」
A 「…………ぇ」
両肩をがしっと強く掴み、大きな声で私の名前を呼んだ国行は、さっきの勢いが無かったかのような優しく、けれど真剣そうな声で、私に語りかけた。
“過去は過去”、確かに国行はそう言ったわ。
明石 「いくらAが幻の刀と呼ばれていようとも、例え独り持ち主に置き去りにされたとしても、それは過去、昔の話。そして、昔のA国華。
過去を忘れろ言うてる訳やない、ただ、過去に囚われるのはあかん。ここにいるAは、現在の、今のA国華や。」
A 「そう言っても……」
無理よ、目を閉じればすぐそこの光景なんだもの。まるで今もなお続いているかのような思いにさえなってしまう、それだけ鮮明に覚えてるもの。
忘れることなんてしないし、出来ない。それと同時に、コレから抜け出すことも出来ないの。
ふるふる、と弱々しく首を横に振った私。国行はそんな私の様子を見て、優しく顔に手を当てる。
明石 「だいじょうぶ、すぐに抜け出すことなんて誰にも出来へん。勿論、自分だってそうやった。気い抜けばパッと思い浮かぶ苦しい、悲しい過去に何度も何度も心を蝕まれて、その度に自暴自棄になりそうやったし、なりかけた。」
A 「国行にも、あるの？」
明石 「言いたくない、考えたくない、思い出したくもない……そんな昔や秘密は、誰にでもある。」
そう言った国行の瞳は悲しみを帯びているようだったけれど、それは濁った悲しみではなく、もう吹っ切れているとでも言いたげな、澄んだ悲しみの色。
国行は私よりも二、三年早く人の身を得た。何百年と生きている私たちからすれば一瞬のことなんだけど、そんな一瞬の間に国行は、付喪神して、刀剣男士として凄く成長していて。数年の間に、国行はどんなことを経験し、何を思ったのかしら。
きっと凄く苦しかった筈だわ、でも、誰かが国行を呪縛から解き放ってくれたのね。
私を呪縛から解き放ってくれるのは、一体誰になるのかしら。
こんなこと言う柄じゃないのは知ってるけれど、もしそれが、国行や蛍、国俊だったら良いなぁ……、なんてね。
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まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士A(プロフ) - 華音さん» ひぇ……本当いつもありがとうございます！こう言ってはなんですが凄く助かります笑(いつもすみません)更新頑張ります！ (2020年7月1日 20時) (
レス) id: 8464144616 (このIDを非表示/違反報告)
華音(プロフ) - こんにちわ( ´ ▽ ` )お久し振りです。早速最新話読ませて頂きました♪ですが最後の辺りで文章に誤字が御座いましたので^^;御報告を致します。誤「白夜さんが変え出てくる」→正「白夜さんが帰って来るのは」ですね☆それでは次のお話を楽しみにしております(*^^*) (2020年6月30日 14時) (レス) id: 85eea2d6ee (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：まぴおろごん@通りすがりの黒魔道士Ａ | 作成日時：2020年6月16日 23時
