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秘密44 ページ6

及川side


「はっ…っ…はぁ…。」




走って走って走って。




ついたのは病院ではなく、Aの家。




息を整える暇すらなくインターホンを鳴らす。




明かりがついてるから、今日は堅治くんがいるんだろう。




「はーい。…及川…さん。」




ガチャリと扉を開けた堅治くんは俺の顔を見てヒドく驚いた顔をした。




「…堅治くん、ごめんなさい!」




深々と頭を下げる。




こんなことをしても、もう過去は変えられないことはわかってる。




Aが苦しみながら俺を引き離した時も。




Aはきっと、1人で泣いたんだろう。




「…謝って済む問題じゃないんすよ。」




堅治くんが俺の肩を思い切り押した。




よろけた俺はその場に尻餅をついた。




「…姉貴はただでさえ寂しいのに苦しいのにどうして余計な心配まで増やすんだよ!」




ポロポロと涙を零す堅治くんの声は震えている。




「正義感の強い姉貴は何でも自分のせいだって言うんだよ…。」




知ってるよ。Aはいつもそう言うもんね。




「そんな言葉を聞いて苦しいのに笑ってそばにいてやるのは俺なんだよ…。」




ごめんなさいの言葉しか出てこない。




それ以外に言えることがないんだよ。




「俺、言いましたよ。姉貴悲しませたら承知しねーって。」




うん、言ってた。




もう俺はその約束を破ったんだよ。




…でも、だから病院じゃなくてここに来たんだよ。




「堅治くん…俺のこと殴っていいよ。」




Aの分も堅治くんの分も。




力いっぱい殴ってくれたら嬉しい。




「…知りませんよ。」




「俺が悪いから。いいよ。」




大きく振りかざされた堅治くんの右手を見て、ギュッと目を閉じた。




…が、痛みは来ない。




「…やっぱ、無理っす。姉貴の大切な人傷つけたら姉貴悲しむと思うんで…。」




そう言って、下唇を噛む堅治くんは悔しそうに顔を歪めるAにそっくりだった。




「…次はないっすよ。早く姉貴のところ行ってください。」




「ありがとう。」




堅治くんに背中を押されて俺はまた走った。




大好きなAがいる場所に。




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設定タグ:ハイキュー , 及川徹 , 影国赤   
作品ジャンル:アニメ
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影国赤(プロフ) - りーかさん» そうだったら嬉しいです! 本当ですかー?私もまだまだですよー (2016年2月21日 16時) (携帯から) (レス) id: d0b3ca9761 (このIDを非表示/違反報告)
りーか(プロフ) - 影国赤さん» ぜったい友達も感動すると思います!そんなことありますよ!!私には作れませんもん!! (2016年2月21日 15時) (レス) id: 7285f8f86f (このIDを非表示/違反報告)
影国赤(プロフ) - りーかさん» お友達にも喜んでもらえたら嬉しいです! いやいや、そんなことないですよー (2016年2月21日 15時) (携帯から) (レス) id: d0b3ca9761 (このIDを非表示/違反報告)
りーか(プロフ) - 影国赤さん» いやぁー!だってこんなにも素晴らしい作品を見て欲しくて!!!もう思い出すだけで泣いちゃいますよ…泣 やっぱり才能ありますって!! (2016年2月21日 15時) (レス) id: 7285f8f86f (このIDを非表示/違反報告)
影国赤(プロフ) - りーかさん» えっ!嬉しいです!! (2016年2月21日 15時) (携帯から) (レス) id: d0b3ca9761 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:影国赤 | 作成日時:2016年2月6日 15時

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