【SERVAMP】 狼男の彼は吸血鬼と仲良くできるのか！！？？【男主】

三十三言目. 蹴り飛ばした明日を ページ34

貴「人生っていろいろあるよね？それこそ世界中を見てみたら
　 抱えきれないほどの不幸と幸福がある。でも、だからって
　 俺は俺の不幸を嘆いたりなんて俺はしない
　 だって、こんな不幸おいしくておいしくて誰にもあげたくないよ」

　部屋に入って、開口一番
　俺はそう言った

貴「なーんてね」

　憂鬱は部屋に置かれたソファに深く座り
　俺はドアから少し離れた場所に立っていた

椿「入ってきていきなりそんな話をするのは
　 君が『狼藉者(ノーウルフ)』と言われているからかな？」

　へぇ、ずいぶんと懐かしい名前だ

　狼藉者、たしか『乱暴を働く者』って意味だったかな？
　むかしそう呼ばれていたけど、今はどうなのだろう
　もっと、カッコいいのになっているのかな？

椿「狼男なのに狼男じゃないって不思議だね」

貴「そうか？本当だから別にそう呼ばれても
　 いいと思うけどな？」

　ニヤニヤと２人とも笑っているだけの
　奇妙な空間が生まれる。うむ、実にカオス

貴「それで？俺を呼び出した理由ってなんだ？」

椿「この前も言った通り、コッチ側に来ない？」

貴「またその話か・・・」

　ため息をはきながら、頭に手をやって

貴「なんども言うが、俺は誰の味方にも敵にもならない
　 だから、それだけはできない」

椿「ふぅん、そこまでして関わりたくないの？」

　そうだ、というのにはあまりにも簡単すぎた
　理由なんてそんなたいそうな物はない
　
　ただ、やりたくないだけ

　狂ったように平凡と絶望を愛してしまったから
　あの深みにもう一度ハマってしまったら
　もう、戻れない気がして

　それが、嫌で

　めんどうで

　嫌いで

　好き

貴「うん、そうだ」

　だんだん立っているのがつらくなってきて
　そろそろ、座りたい

貴「憂鬱、俺は君たちとは友好な関係でいたい
　 戦うとか戦争はちょっと遠慮するよ」

椿「それは・・・Ｃ３の頃にさんざんやったからかな？」

　Ｃ３か、ああ懐かしいね
　あの頃が一番動いていた気がするよ

貴「そうだ、だからもう面倒事と戦争には関わりたくないね」

　ひらひら、と俺は肩をすくめる
　憂鬱は俺をどうにかして自分側へ引き込みたいらしいけど
　そう一筋縄じゃ行かせないよ？

　真祖の会合が明後日ある

　それまでには憂鬱とはケリをつけたいけど
　これも一筋縄じゃいかないか・・・

椿「じゃあ、どうして首に吸血痕があるの？」

　ヒヤリ、と首筋に冷や汗がにじんだ

三十四言目.　また拾い上げてる→←三十二言目.　もう嫌になるなって、呟いて

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す