【六】一章-国永の小太刀5- ページ7
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「それはそうと、鶴丸殿。そろそろA殿を離した方が良いのでは？」
「ん？」
「苦しそうですから」
そう指摘され腕に抱いていたAを見ると、弱々しく鶴丸の胸を叩き腕の中でもがいていた。顔を押さえ付けられたままだったAの精一杯の抵抗だ。
すまん。と慌ててAを引き剥がした。
「大丈夫ですかな？」
「あ、ありがとうございます。一期、一振殿」
やっと充分な酸素を吸い込み、息苦しさから解放される。肩を上下させ荒い息のままのAへ声を掛ける。
差し出された一期の手を取って、よろよろと立ち上がった。軽い酸欠状態のなごりで視界が揺れる。
ぐらりと傾いた身体は重心のバランスを崩して前へと倒れていく。
「おっと……やはりまだお辛いのでしょう？ ゆっくり呼吸を整えて下さい」
倒れ込むAを難なく受け止めると、流れるように床へ腰を下ろさせた。
心配そうに眺める一期に背中を擦られながら、深呼吸を繰り返し荒い息を落ち着かせる。
「もう、大丈夫です。来て早々にご迷惑おかけしました」
「いえいえ、この程度お気になさらず。私が鶴丸殿を煽ったことも原因ですから」
「元を辿れば、私が悪いんです。兄に会えてはしゃいでしまいました」
垂れた前髪から覗く大きな瞳は伏せられていて、Aの表情が暗く見えた。
兄弟刀である鶴丸とは違い、見た目通り大人しい印象を受ける。脇差の中でも小柄な部類であろう背丈もあり、一期の庇護欲が掻き立てられる。
「色々と不安でしょうが、私もお力添え致します。ですから、鶴丸殿だけでなく私のことも頼って下さい」
Aははにかむような精一杯の笑みで頷いた。
それがまた一期を刺激して、一期の中で完全にAは弟達と同様の庇護対象へと分類された。
「ところで、A殿の配属部隊はもうお決まりですかな？まだのようでしたら、第二部隊などいかがでしょう。僭越ながら私が部隊長を任されております。手助けするには最適ですから」
「おいおい、君はなに人の弟を口説こうとしているんだ？」
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メランコリー - 面白かったです。続き気になります…！次の更新楽しみです！ (2017年2月20日 21時) (
レス) id: f9cb988cce (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - とても面白いです。(^.^) 更新待ってます！ (2016年3月26日 22時) (レス) id: d0cc45d452 (このIDを非表示/違反報告)
ナヌノキ(プロフ) - とっても面白いです！ 文才あってうらやましいです……！ これからも、更新 頑張ってくださいッ！！ (2016年1月1日 10時) (レス) id: e6d0dbd909 (このIDを非表示/違反報告)
ﾉ杜ﾉ(プロフ) - 時狐@in率低下さん» ご質問ありがとうございます。刀派というのは夢主の設定のことでしょうか。そのことについてですが、刀剣乱舞の公式設定で鶴丸国永が刀派なしと書かれており、その設定を使用しました。この作品では鶴丸の兄弟刀として書いているので同じように刀派なしとしています。 (2015年10月11日 0時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
ﾉ杜ﾉ(プロフ) - 雪乃さん» コメントありがとうございます！落ちの方はまだ考え中ですが、おそらく鶴丸寄りにはなると思います。 (2015年9月22日 12時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾉ杜ﾉ | 作成日時：2015年9月3日 17時
