【三】一章-国永の小太刀2- ページ4
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三人は一先ず鍛刀部屋から出ると長い廊下を歩いていた。
「Aにはとりあえず第二部隊に入ってもらおうと思う。練度はまあゆっくりでいいから、まずはここに慣れるとこからだ」
Aは小さく頷き「頑張ります」と意気込んだ。
大雑把に今後の方針を説明し薬研にAの案内役を任せると、審神者は足早に私室へと向かっていった。報告書が、報告書が、と唸りながら歩いていく彼の背中は力無さげに見えた。
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「大将から案内役を任されたわけだが、あんたはどっか行きたい所はあるかい?」
「まだ、来たばかりなのでどこに行けばいいのか……」
肩を竦めて困り顔で薬研に言葉を返した。
そりゃそうだな、と納得すると、少し考えを巡らし何か閃いたのか、Aに提案を持ち掛けた。
「なら、まずは道場の方に行かねえか?」
「道場ですか……」
「ちょうど手合わせしてる頃だと思うんだが、今日は確かいち兄で、ああ一期一振っつう太刀でな第二部隊の隊長任されてんだ。Aの所属する隊の隊長だ、早めに顔合わせといた方がいいだろ」
案内をしながら本丸内に居る刀剣男士との顔合わせも済ませてしまおうという薬研の提案だった。生憎、遠征に行っている部隊が居るようで全員とまではいかないらしい。
一先ず、Aの属する隊の部隊長に会いに行くことになった。
ああ、そうだ。と思い出したように呟く。
「手合わせの相手が鶴丸の旦那だったな。五条国永の脇差ってことは、旦那とは兄弟刀になるのか。面識はあるのかい?」
薬研の問い掛けに、いえ、と首を横に振った。そして、少し寂しそうにポツリと呟いた。
「私は晩年の頃に打たれた刀なので、他の兄弟刀との面識は全く……私の方は知識として知ってはいるんですが、向こうも知っているかどうか……」
「まあ、俺っち自身ここに来て初めて会った奴もいるし、兄弟刀ってのは初めてでも会っただけで嬉しいもんだよ」
「そうでしょうか」
「そうそう、試しに一つ熱い抱擁でもかましてやれよ。驚きを求めてる旦那だ、喜ぶんじゃあねえか」
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メランコリー - 面白かったです。続き気になります…!次の更新楽しみです! (2017年2月20日 21時) (レス) id: f9cb988cce (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - とても面白いです。(^.^) 更新待ってます! (2016年3月26日 22時) (レス) id: d0cc45d452 (このIDを非表示/違反報告)
ナヌノキ(プロフ) - とっても面白いです! 文才あってうらやましいです……! これからも、更新 頑張ってくださいッ!! (2016年1月1日 10時) (レス) id: e6d0dbd909 (このIDを非表示/違反報告)
ノ杜ノ(プロフ) - 時狐@in率低下さん» ご質問ありがとうございます。刀派というのは夢主の設定のことでしょうか。そのことについてですが、刀剣乱舞の公式設定で鶴丸国永が刀派なしと書かれており、その設定を使用しました。この作品では鶴丸の兄弟刀として書いているので同じように刀派なしとしています。 (2015年10月11日 0時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
ノ杜ノ(プロフ) - 雪乃さん» コメントありがとうございます!落ちの方はまだ考え中ですが、おそらく鶴丸寄りにはなると思います。 (2015年9月22日 12時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノ杜ノ | 作成日時:2015年9月3日 17時