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【二十】二章-本丸日和4- ページ21

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お待たせして申し訳ありません。とゲートへ着くなり慌てた様子でAは頭を下げた。
すでにゲート付近には今回の遠征部隊の面々が揃っていた。

長時間の遠征でないとはいえ、やはり人の身を得て初めてのことでA自身少しばかり浮き足立っていた。鞘に収まった本体を握る手にも力が籠る。

「Aさん、緊張してるのー?」

虚を衝くように背後から背筋を指先で逆撫でされAはゾワリと鳥肌を立てた。
少女を思わせる少し高いその声は、ふふふ。といたずらの成功したような笑みを溢した。

「み、乱殿……」
「びっくりした? ダメだよー、簡単に背後取られちゃ! 緊張するのはいいけど、しすぎるのはだーめ!」
「……そうですね、すみません。…………ただでさえ、皆さんの足を引っ張るんですから、もっと気合いを入れないといけませんよね」
「違う違う。そういうことじゃなくてね」

さらに肩に力の入るAは乱の言葉にきょとんと首を傾げた。
もう、と声を漏らしながら乱はAの正面へ回ると、本体を握る手にそおっと両手を合わせた。

「もっと、肩の力抜いていこうよ。難しい遠征じゃないし、ボク達だって居るんだから、ね?」

安心してよ、と微笑みながらAの顔を下から覗き込んだ。

「なんだっだら、Aさんの後ろはボクが守ってあげるよ!」
「それは頼もしい限りですね」
「でしょ?……だから、ボクの後ろはAさんに任せたからね!」
「!……はい! 任せて下さい!」

花を散らしたような満面の笑みを浮かべてAは誇らしげに明るい声で答えた。

Aとの話を終え、くるりと向きを変えた乱は先程から此方を見詰めていた兄の方へ近付いた。

「いち兄も何か言えば良いのに。すっごく気にしてるみたいだけど……?」
「乱の言葉でA殿も幾分緊張は解れたようだし、私からは特に必要ないだろう」
「えー……声掛けなくて本当によかったの?」
「いや、私は……」

乱に強く仄めかされても一期は言い淀んだまま目を逸らした。
いつもなら何も言わなくても自ら進んでフォローに回り、部隊長として助言するくらいのことはしていたであろう一期にしては珍しい態度だ。

不思議そうに理由を問えば、一期は言葉をつまらせながら述べた。

「実を言うと、……上手い、言葉が見つからなくてね」
「ふーん、いち兄にしちゃ珍しいねえ」
「……」

はあ、と溜め息を吐けば、乱に慰めるように肩を叩かれた。

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メランコリー - 面白かったです。続き気になります…!次の更新楽しみです! (2017年2月20日 21時) (レス) id: f9cb988cce (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - とても面白いです。(^.^) 更新待ってます! (2016年3月26日 22時) (レス) id: d0cc45d452 (このIDを非表示/違反報告)
ナヌノキ(プロフ) - とっても面白いです! 文才あってうらやましいです……! これからも、更新 頑張ってくださいッ!! (2016年1月1日 10時) (レス) id: e6d0dbd909 (このIDを非表示/違反報告)
ノ杜ノ(プロフ) - 時狐@in率低下さん» ご質問ありがとうございます。刀派というのは夢主の設定のことでしょうか。そのことについてですが、刀剣乱舞の公式設定で鶴丸国永が刀派なしと書かれており、その設定を使用しました。この作品では鶴丸の兄弟刀として書いているので同じように刀派なしとしています。 (2015年10月11日 0時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
ノ杜ノ(プロフ) - 雪乃さん» コメントありがとうございます!落ちの方はまだ考え中ですが、おそらく鶴丸寄りにはなると思います。 (2015年9月22日 12時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ノ杜ノ | 作成日時:2015年9月3日 17時

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