【十八】二章-本丸日和2- ページ19
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途中となっていた羽織に腕を通しAは唐突な来客に首を傾げながら障子の方へと近付いていく。
「三日月様はどうして此方へ？ 鶴丸兄さんに何か御用事ですか」
「朝餉へ向かうついでに立ち寄ったまでだ」
ついで、ねぇ。と鶴丸は三日月の言葉に怪訝そうに眉を潜めた。ここへ立ち寄るのは明らかに遠回りだと指摘したくなった。
何食わぬ顔でAを朝餉に誘い出す姿に、やはり昨日の発言が冗談ではないのだと鶴丸を憂鬱な気持ちにさせた。
しかし、三日月が距離を詰めれば、Aも同じだけ距離を空ける。Aは初めから三日月に苦手意識を持っているらしく、必要以上に関わるのは抵抗を感じているようだ。
────ひとまず、Aの性を隠して、それを理由に離せばいい。
Aの方から距離を取れば、早々に鶴丸の危惧する事態にはならないだろう。
・
大広間での朝食を終えて本日の日程が審神者より伝達された。
Aの所属する第二部隊も今日は非番ではなく、遠征任務を受けていた。顕現されたばかりですぐの出陣は難しいだろうという審神者の配慮だ。
とはいえ、人の身を得て初めての任務にAも少しばかり力が入る。
「傷を負うことはないだろうが、気を付けてな」
「はい！ 鶴丸兄さん！ 頑張ってきます！」
快活とした声で答えが返ってくる。
遠征は問題ないだろうが、果たして出陣では本当に大丈夫だろうか。こんな細腕で脇差とはいえ刀を振るうのに支障は来さないのか。
Aの腕を掴んでまじまじと見詰めている鶴丸は、己自身もその細身を他刀剣から心配されていることは知らない。
解散。という審神者の号令で各々割り振られた仕事に向かった。審神者は広間を出る際、Aと鶴丸を呼び止めた。
「A、と鶴丸。この後、執務室に来てくれ。訊きたいことがある」
そう告げて審神者は広間から出ていった。
「十中八九、君についてだろうな。俺は、まあ、一応兄弟刀としてってとこか」
「私……主様の求めていらっしゃることをお話しできるでしょうか」
「気負うことはないんじゃないか。自分のことを話せばいいんだ、簡単だろう？」
「そう、ですね……」
記憶も記録も薄い自身を話すことはAにとって鶴丸の言うように簡単とは言い難いものだった。
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メランコリー - 面白かったです。続き気になります…！次の更新楽しみです！ (2017年2月20日 21時) (
レス) id: f9cb988cce (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - とても面白いです。(^.^) 更新待ってます！ (2016年3月26日 22時) (レス) id: d0cc45d452 (このIDを非表示/違反報告)
ナヌノキ(プロフ) - とっても面白いです！ 文才あってうらやましいです……！ これからも、更新 頑張ってくださいッ！！ (2016年1月1日 10時) (レス) id: e6d0dbd909 (このIDを非表示/違反報告)
ﾉ杜ﾉ(プロフ) - 時狐@in率低下さん» ご質問ありがとうございます。刀派というのは夢主の設定のことでしょうか。そのことについてですが、刀剣乱舞の公式設定で鶴丸国永が刀派なしと書かれており、その設定を使用しました。この作品では鶴丸の兄弟刀として書いているので同じように刀派なしとしています。 (2015年10月11日 0時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
ﾉ杜ﾉ(プロフ) - 雪乃さん» コメントありがとうございます！落ちの方はまだ考え中ですが、おそらく鶴丸寄りにはなると思います。 (2015年9月22日 12時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾉ杜ﾉ | 作成日時：2015年9月3日 17時
