【十一】一章-国永の小太刀10- ページ12
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「一期？ それにAに鶴丸も。そんな所に突っ立ってないで此方に来いよ。Aには早く紹介したい奴も居るんだ」
屋敷へと視線を移した審神者が一期達の姿を捉えるのは容易だった。
日本情緒漂う本丸で鮮やかな水色は嫌に目立つ。さらに全身漂白されたような白色が居るのだ、目立つ目立つ。黒い戦装束のAだけはそこまで浮くことはないのだが、背後に立つ白がAの色を強調させて今現在は見事に目立つモノクロになっている。
帰還した刀剣男士に報告を聞いていた審神者の手招きで一期達三人はいそいそとその輪の中に入っていく。
審神者の傍まで行くと、一期と鶴丸はAより一歩引いた所で足を止めた。
「本当はすぐにでも紹介できれば良かったんだが、生憎ちょうど遠征に出してた所だったんでな。遅くなったが紹介するよ、こいつが俺の初期刀、歌仙兼定だ。一からこの本丸を回してきた、所謂古株ってとこか」
「……古株、という呼ばれ方はあまり好きではないのだけれど、まあいいさ。初めまして、僕が歌仙兼定、初期刀として主を支えてきたつもりだよ」
「此方こそ初めまして、私はAといいます。五条国永の作で、ここに居る兄さ……鶴丸国永の兄弟刀です」
Aは深々と頭を下げて鶴丸の方を指した。
兄弟刀、とAの言葉を反芻するように呟いた歌仙は鶴丸とAとを見比べる。その様子を不思議そうに眺めるだけだったAの肩を白い腕が絡み付いた。
「俺の兄弟刀に何か不満でもあるのか？」
Aはそうなんですか、とでも言いたそうな不安気な表情を浮かべた。
後ろから抱き込まれる形になっているAは自身の重心を僅かに鶴丸へと傾けた。
「そういう訳ではないよ。ただ、鶴丸国永の兄弟刀というので身構えはしたけれど……君に落ち度はないよ、A」
「その物言いだと、俺に咎があるように聞こえるんだが……？」
「先日、驚きがどうのと宣(のたま)って、本丸中を水浸しにしたのは何処の誰だったかな？」
笑顔を浮かべていた歌仙だったが、その目だけは笑っていなかった。
びくり、と身震いしたのがAにも伝わってきた。この兄はどうやら問題児らしい、と抱き締める力が少し強くなった腕の中で考えていた。
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メランコリー - 面白かったです。続き気になります…！次の更新楽しみです！ (2017年2月20日 21時) (
レス) id: f9cb988cce (このIDを非表示/違反報告)
桜姫(プロフ) - とても面白いです。(^.^) 更新待ってます！ (2016年3月26日 22時) (レス) id: d0cc45d452 (このIDを非表示/違反報告)
ナヌノキ(プロフ) - とっても面白いです！ 文才あってうらやましいです……！ これからも、更新 頑張ってくださいッ！！ (2016年1月1日 10時) (レス) id: e6d0dbd909 (このIDを非表示/違反報告)
ﾉ杜ﾉ(プロフ) - 時狐@in率低下さん» ご質問ありがとうございます。刀派というのは夢主の設定のことでしょうか。そのことについてですが、刀剣乱舞の公式設定で鶴丸国永が刀派なしと書かれており、その設定を使用しました。この作品では鶴丸の兄弟刀として書いているので同じように刀派なしとしています。 (2015年10月11日 0時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
ﾉ杜ﾉ(プロフ) - 雪乃さん» コメントありがとうございます！落ちの方はまだ考え中ですが、おそらく鶴丸寄りにはなると思います。 (2015年9月22日 12時) (レス) id: ed6c7bef4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾉ杜ﾉ | 作成日時：2015年9月3日 17時
