誰に、何される？【ハイキュー!!】【短編集ver.】 (ページ8)

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スマホと音楽 Morisuke Yaku ページ8

ー夜久衛輔

教室の端っこ。

夜久｢…A｣

｢ごめんなさい｣

俺と、あまり身長差がないはずのA。

けれど、今日は何時になく小さく見える。

夜久｢どうするの、LINEできないけど｣

｢電話します｣

夜久｢今日部活あるから、ショップ行けない｣

｢ごめんなさい、明日一緒に行きます｣

夜久｢部活の連絡どうするの｣

｢私が、知らせます｣

そう言うと、頭をひょこひょこ下げた。

ーくっそ、可愛いなおいっ…！

夜久｢あー、頼む。…てか、イヤホン無事で

良かったからな｣

｢うん…｣

けど、なー。

音楽聞けないんだよな。

やっと、朝ダウンロードしたばっかりの

新曲さえも聞けないのか…。

夜久｢音楽聞けないんだけどな｣

｢ごめんなさい、プレイヤー貸します｣

夜久｢いや、そこまー…。いや。

ー大丈夫だ、聞く方法あったな｣

そう言って俺は、イヤホンとスマホを

鞄に投げ入れた。

そして、思いっきり満面の笑みを向けた。

夜久｢Aが歌えよ？｣

｢ふざけてるよ？！｣

夜久｢誰のせいだ｣

｢いえ、私のせいです｣

夜久｢じゃあ、歌えるよな？歌えるよな？｣

そう言って、俺は更にAのスマホを

取り上げてサイトへ接続。すぐさま、歌詞検索

をかけて画面を差し出した。

｢え、待って逃げたい｣

夜久｢逃げたら、毎日歌わせるけどいいのか｣

｢いえ、歌います｣

夜久｢よし！…じゃあ、3.2.1..｣

カウントダウンを開始すると、

大きく息をすいこんだ。

｢～♪｣

夜久｢…ｯ｣

ーAには、言っていない。

この歌君が分かるはずだろ？

ー覚えていないだろうけど。

初めてあった恋に落ちたあの日。

桜の木の下で、君を見つけた日。

聞いたんだ。

ーAの歌声を。

｢～♪｣

夜久｢A｣

｢？｣

夜久｢…好きだ｣

俺はそのまま腕の中に引きずり込んだ。

歌声は腕の中にこごもる。

本当は、俺だけのものにしたいんだ。

夜久｢好きなんだ｣

ー全てオレのものにできたら…

声も思いも全部全部ー

夜久｢俺だけのAになってくれよ｣

｢…最初からそのつもりだよ、衛輔｣

首筋にかかる吐息もその笑顔も俺だけのもの。

夜久｢離さないから｣