ヘタレ及川、男らしくなるために【及川徹】

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「 聞いて聞いて！今度の練習試合、本城さん見に来るって！ 」


翌朝
この部室に来てから

いや違う
昨日本城さんが練習試合見に行くって言ってから
脳内お花畑状態の俺

部室で小踊りする
岩ちゃんに邪魔って言われたけどそんなのどうだっていい


「 めっちゃ嬉しいぃぃぃ！ 」


彼女が練習試合を見に来る
それだけでこんなにも喜ぶ彼氏がどこにいるだろうか

ここにいる


「 つーか、未だ名字に さん付け なわけ？ 」


練習着に着替えながらマッキーが俺に聞いてきた

だって、名前で呼ぶのは…


「 名前で呼ぶのは…恥ずかしいし… 」


両手の人差し指の先っぽ同士を合わせてクルクルしたりして遊ばせる

確かにもう付き合って2ヶ月経つし
デートもたまにしてるしキスも…ほんの数回だけではあるがしてるし

名前で呼んでみたいけど
やっぱり違和感あるし恥ずかしいし
本城さんも俺のこと名字呼びだから別にいいかなって


「 試しに呼んでみ？ 」


な？ってまっつんに勧められる
今なら本人いないし、行けるかもしれない

俺はそんなことを考えた
すぅーはぁーと息を整え覚悟を決める



…よし


「 ……A…っ」


ボソボソと呟く
でもそれだけでも、その声のボリュームでも顔が、体が、一気に熱くなる


「 やっぱりムリっ！ 」


ムリだムリだ
本城さんを名前で呼ぶなんてムリだよ


「 男らしくねぇな。お前そのうち捨てられるぞ 」

「 岩ちゃんが言うと現実になりそうだから辞めてっ！ 」


男らしくない

なんて、岩ちゃんに言われなくても分かってる



男らしくなりたいよ

じゃないと本城さんが自慢できる彼氏になれないよ

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