【HQ】及川さんは一途らしい３ (ページ32)

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４対４ページ32

『で、また私を巻き込む感じですか。』

その日の夜…つまり三日目の夜。
昼ごはん担当だった私は夜は暇で、お風呂の時間まで自主練の手伝いでもしようかと体育館に来てみればセッターとして投入されることになる。

猫チームVS梟チームの４対４ゲームが行われる。

澤村「でー…なんで俺？」

黒尾「サームラくんちょうど通りかかったし」

と言うことでスタートしたゲームは身長的にかなりバランスの悪い分け方になっている。
私は平均身長が高い猫チームに入ることとなる。
…打点が高いとずれそうなんだけど。

最初のサーブは澤村くんから…

ーーーーーー

ー日向翔陽視点ー

何回サーブが、レシーブが、スパイクが行われただろうか。
疲れてきた身体はご飯を求めて声を上げ始めている。

俺より少し小さい、夏が入院中にお世話になった大王さまの彼女、篠原A先輩から打ち出されたサーブは綺麗に俺の方へと向かってくる。
流石にこれくらい取れるだろ…くらいの勢いで、でも気を抜かずに…

アンダーで取ろうと構えて踏み出すと、気づけばそのボールは地面に吸い込まれていった。

…確かに無回転で揺れてはいた、けどこれほどまでに落ちるとは思わなかったのだ。

テンテン…と音を立てて落ちたボールは俺の足に当たる。

日向「スッゲェ…
篠原先輩！」

あそこまでぐっとくるサーブは今まででも数えるほどしか見たことがない。
影山もサーブはうまいけど力でねじ伏せてる感あるからなぁ

『これでもエースやってたからねっ』

日向「エースっ！！」

ふふんと少し誇らしそうな顔をした彼女はいつもよりか子供らしい笑みを浮かべた。

でも次はあの変化球もとってみせると意気込んだものの、来たのは長いサーブ。
インかアウトかを見極めるのが…ええいとってしまおう。

日向「赤葦先輩！」

威力が弱いそのボールはまぐれだけど、綺麗にセッターの位置に帰った。
癖っ毛の梟谷２年の先輩はそれをレフトの位置で待ち構えている木兎さんに送るも、待ち構える１９０cm三枚ブロックに阻まれ綺麗には落ちない。

『オーライ』

威力は落ちたそのスパイクは待ち構えていた篠原先輩が綺麗にレシーブをあげた。

『月島くん！』

前に返ってきたボールを呼び寄せるに彼女は後ろから大きく助走を取り、アタックラインでばっと飛び上がる。
風に煽られた若葉のようなその姿に俺は目が離せなかった。
　
　