【HQ】及川さんは一途らしい３ (ページ21)

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元バレー部ページ21

灰羽「A先輩うまいっすね！」

とにかく私が打つ球をレシーブさせられているリエーフくんはそういった。

光太郎くんが打つときはクロくんのブロックを通った時のフォロー、私が打つときはブロックなしでリエーフくんのレシーブ練。
今のところの勝率は私の方が高いので、まだそこまで腕は鈍ってないようだ。
…なんてバレー初心者と戦っていえたことじゃないけど…ほら、相手は男子だし

『一応バレー部出身だからね…』

一応主将はやっていたけど３年になって割とすぐやめたし、そもそもチームの雰囲気は最悪だった。
他人のせいにしたくはないけれど、私だけの問題というわけでもないだろうし…

『これでも、スパイカーやってたんだよ』

身長はスパイカーとしては低い方だけど持ち前の運動神経でどうにかなっていたものの、思春期に入ってからか体がどうも重くなって高校ではマネージャーになった。
今では徹達の自主練で少し付き合うくらいだ。

黒尾「ふーん…どこかでみたことがあると思えば、北一の女バレ主将か。」

木兎「ドイツ帰りの新スターとかなんとか一時期騒いでたな」

そんなことも言われていたな…
チームの雰囲気が悪いことをベルリンの壁を作った本人、と学校で嫌われてた人には比喩されてたけど。

『ドイツ帰りって言っても、いたのそんなに長くはないんだけどね』

さて、とこの話題に一区切り入れる。
あんまりこの話はしたくはない。黒歴史をずるずると引っ張られそうで少し怖いのもある。

特に意味もなく壁に取り付けられた時計を見上げる。
まだ１９時だ。

黒尾「お、ちょっとブロック飛んでくんない？」

外を丁度通りかかった烏野の月島くんを彼は呼び止めた。
ちょっとばかし嫌そうに顔を歪めた彼はそれでも律儀にこちらによってきて断る。

木兎「ブロックなしでスパイク練習しても意味ないんだよー
頼むよー」

黒尾「そだ、丁度６人いるしミニゲームしない？」

…６人というと…私も含められているのだろうか？
流石に怪我しそうで怖いので遠慮したいものだが…

黙り込む月島くんをクロくんは煽り始める。

黒尾「それに君もMBなら少しブロック練習した方がいいんじゃない？」

その言葉にカチンと来たらしい月島くんはムッとした顔で第三体育館に足を踏み入れる。

あぁ、突き指とかしませんようにと祈りながら私は配置につくのだった。
　
　