クロくん ページ20
私はというと森然、梟谷、烏野、生川もマネージャーがいるため必然的に音駒につくことになった。
音駒といえば東京ではいつも上の方に食い込む強豪校。
相手に気持ちいいアタックを打たせないしなやかレシーブが得意で、うちとはあんまり相性が良さそうではない。
だからこそ学ぶべきところはたくさんあるだろう。
飲み物の用意に改善点を言ってみたり、昼前には持ち回りでご飯の用意をして、おやつ休憩…
気づいたらもう夕方を過ぎてとっぷりと日は暮れていて、星空は綺麗に輝いている。
真夏だというのに涼しい風が吹くのはここが自然の中だからだろう。…蚊には喰われそうだけれど。
『黒尾さんは今から自主練?』
黒尾「ん。
エト、その黒尾さんってのやめませんか?」
謎の敬語を使う彼は照れ臭そうに頬をかいた。
黒尾「なーんか、なれないんだよね同級生にさん付けで呼ばれるの。
俺も篠原って呼ぶからさ。」
『なら、クロくん?』
2年セッターの孤爪くんがクロ、と呼んでいるのを思い出してそういってみたものの、いきなり馴れ馴れし過ぎただろうか?
自分的には距離を詰めるのにあだ名をつけるのが好きだったりするのだが、それが苦手っていう人もいるだろうし…
黒尾「クロくんかー
ん、なんか新しい感じでいいな。」
いたずらっ子のような笑みを浮かべた彼は第三体育館へと歩いていく。
晩御飯の支度は明日だし今日は少しご一緒させてもらおう。一人部外者だからもう少し打ち解けたいのもあるし…
暗い渡り廊下を歩いていればバシッとボールが叩きつけられる音が響いてくる。
重そうなスパイクの音にぞくっとする。レシーブ受けたら痛そうだな、なんて思った。
黒尾「おーおー…また木兎がやってんね。」
『体力無限人間っぽいしね。』
笑いながらドアを開ければ案の定というか、光太郎くんがそこにいた。
ブロックに参戦しているのは音駒のリエーフくんと梟谷の木葉くん。まぁ、彼に至ってはもう疲れたからか私たちが入ってきたと同時に逃げるように帰っていったが…
赤葦「黒尾さんにA、来たんですか」
もう一本!と騒ぐ光太郎くんを無視した京治くんはこちらによってきた。
バテてきたリエーフは端に置いてある飲み物を手にして、座り込んでしまった。
『今日は昼ごはんの係だったから、夜は暇で
私でよければボール出しくらいはするけど』
これでも、一応はバレー経験者だし、ね…
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年4月16日 0時