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資料 ページ13

重いカバンを受け取った皐月さんは少し哀れそうに私の方を見た。
カバンをかけていた右肩のシャツは押されていたのかしわくちゃになっていて、彼がピンと伸ばす。

皐月「どうやら、文化祭委員長にちゃんとなれたようですね。」

連絡しておきます、とズボンのポケットからスマホを取り出し親指だけで高速タップして、終わらせるまで数秒。
早いなぁと見ていれば、家の扉が開き、近くにいた使用人の方達に頭を下げられる。
なれないからやめてほしい。


『た、ただいま帰りました。』

車から家までの短い距離ですら出る汗はきかされたクーラーによって冷える。
早めにシャワーを浴びて着替えようと早足で部屋に戻る。

それに資料に目を通して、そうだ、あの人にも連絡を入れなくちゃ…


やることがたくさんあって大変なはずなのに楽しんでいる自分もいる。
人の前に立ち、こなすことが楽しいと思える性格だと…それを忘れていたのはいつのことからだろうか?


ーーーーーー

集中していて、紅茶を持ってきてくれた皐月さんに気付かずに飛び上がる。
空いている窓から聞こえてくるうるさいセミも原因だとは思う…


皐月「集中するのはいいですが、目近いですよ」

クッと背中を引っ張られ、覗き込まれる。
確かに…

ついでに背伸びをすれば、あらぬ音を発する。
バキバキいわせていれば、彼はジト目でこちらを見た。


『つい、楽しかったもので』

綺麗なグラスに入れられたアイスティーを一口いただく。
爽やかなミントの香りと、ほんのりと甘いフルーツが調和している。

長い息を吐いて首を左右に振る。
まだまだ、やることはたくさんある。


皐月「すべてお一人でやらなくても…
副委員の七瀬家子息は?」

彼は彼でたくさんの資料を持ち帰っていたのだし、重要なものは結局のところ私が目を通してハンコを押さなければならないので二度手間だろう。

カタカタとパソコンのキーボードを鳴らしながら文化祭についてのことを打ち込んでいく。

終わりそうにない半メートルほどの紙束を見た皐月さんは軽く溜息を吐いて見やすいようにか整理し始めた。
 
 

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2019年4月16日 0時

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