強くなった ページ49
『飛雄ちゃんに日向くん』
ここで顔でも洗いに来たのか彼等二人が隣に立っている。
強い日差しが降り注いでいて、さっきまで試合をしていただけあってかなり熱そうだ。
影山「…うっす」
日向「お、お久しぶりです」
複雑そうな表情をした彼等に会釈する。
口が上手じゃない私はこの状況で何を言ったらいいのだろうかと脳内で会議を始める。
貼り付けた笑顔がだんだんとヒクついてくるのを感じる。
『私に言われたくないかもしれないんだけど…さ、
強くなったね。』
…私は何を言っているのだろう。
完全な嫌味じゃないか。
負けた相手チームの、それもマネージャーにこんなことを言われるだなんて思ってもいなかったのだろう。
飛雄ちゃんは固まってしまっている。
影山「きっと篠原先輩がそう言うんだったら、そうなんだろうなーって」
思いました。
彼は一息ついてそう付け加えた。
いつもは尖らせている口をキュッと締めて私の目をまっすぐ見る。
信じられる仲間ができた飛雄ちゃんは強くなったなぁ。
…彼のそれになれなかった私達は少し悔しさを覚える。
日向「今度は、勝ちます。
絶対に。」
静かにそう言った彼はどこか別人のようだった。
彼から放たれる冷気のような殺気は私の行動を制限するように痛い。
試合中の日向くんからは考えられないような冷酷さに思わず身震いした。
日向「大王様にも、よろしく言っておいてください」
勢いよく頭を下げた日向くんはミーティングがあるのか向こうの方へと歩いていく。
取り残された飛雄ちゃんは普通にもどって行く日向くんの背中を見つめる。
異様さを感じ取ったのだろうか、少しの恐怖心が拭えきれていない。
『日向くんがいて、よかったね。』
彼の右肩にポンと手を置いてそう言えば飛雄ちゃんは頷いた。
やっぱり素直じゃないなぁ…頷いているのに表情は悔しそうで不覚にも笑いそうになってしまう。
手を振って次の試合に備えるために体育館へと小走りした。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
