登校 ページ44
家に一旦帰り、時計を確認する。
パタパタと階段を上にかけていく。
向こうで用意してもらっていた服をベットの上に脱ぎ捨てて制服のシャツに袖を通す。
軽く肌色を整えるくらいはしようとドレッサーの前に座ってパウダーをはたく。
洗面所に向かい、明るいところで髪の毛を整える。
カタリ
背後で音が聞こえる。
過剰なほどに飛び上がった体は震えるのをやめない。
どうやら、自分が認識している以上に昨日の誘拐された件は怖かったらしい。
立っているのが皐月さんだとわかっても、脚に力が入らずに突っ立っているだけになってしまった。
皐月「…こんなに震えて。
それでも、学校へ？」
冷たくなった私の手を取られる。
彼の両手に私の右手が包まれる。
力の入った肩が痛む。
聞こえるのではないかというほど音を立てる心臓。
彼の声は冷たい。
『…明日インハイ予選で、マネとして出るのに、休めないでしょう？』
絞り出した声は私の手と同じように震えていて、必死に考えた言葉は途切れ途切れだった。
呆れと怒りを吐き出すように、皐月さんのため息は少し荒々しい。
彼は私の手を離し、車まわしてきます、と早足に去っていった。
ーーーーーー
朝練、そしてホームルームには間に合わないが一時間目には…
そう思い家を出たのが９時前。
ホームルーム後の５分休みに私が教室に入るとクラス内はざわつく。
冬木「あれ、篠原さんじゃない、もう体の方は大丈夫なの？」
そうか、おとといの夜メールを書いていたのは体調不良で休みを連絡するためか、と一人納得する。
『おはよう、委員長。
少し崩しただけだから、大丈夫。遅れてしまってごめんなさい…』
冬木「よかった。」
ニコニコと愛想よく微笑む冬木委員長を通り過ぎて私の席にカバンを置く。
中身は皐月さんが入れ替えておいてくれたため金曜日の時間割の教科書になっている。
花園「A」
ひなが私を呼ぶ。
彼女は少し複雑そうな顔をしている。
…ひなは知っているようだ。
『知ってるんだね？』
周りに聞こえないように少し声量を抑えて彼女に問う。
こくりとうなずいて、でも、と付け加える。
花園「私と浅野ちゃんだけ。
流石にインハイ予選前に言うのは…特に及川にはよくないと思って。」
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
