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朝は普通の目覚ましの音で起きたかった。
そう願ったのは多分この人生、20年弱でまだたったの一度もなかったはず。

というより、普通は朝、目覚ましの音は聞きたくないはずである。いや、そもそも起きたくない。

眠気を羽交い締めする驚きを押さえつけながら目の前の状況を理解すべく脳内会議の内容に耳を傾ける。


『…年頃の女子の寝込みを襲う趣味でもおありで?』

平然と私のベットの横にたつ皐月さんを睨みつける。
表情筋がちゃんと作動しているかは置いておいて…


皐月「………まさか
もう朝ですよ。朝食の用意が整っていますので制服に着替えてくださいね。」


否定をするまでの微妙な間に少し引いた。
深妙な顔をしているのを見られて、彼は面白そうに笑った。

皐月「及川家のご子息の婚約者様に手を出そうとするような人だと思いましたか?」

笑止、と一言付け加えて彼は部屋から出て行った。


ムッとしながらドレッサーのスツールに置かれた制服に目をやる。

昨日と同じでシミもシワも見当たらない新品と見間違えるほどの制服に違和感を感じつつも手に取る。


パサっとシャツの下にあったものが床に落ちる。

天井のライトに照らされたそれは恐怖のビスチェ…でなかった…これは恐怖のコルセットである。

ドレスの下に来たものほど硬くはないがそれにしても嫌だ。
記憶に残されたあの苦しさは身体中の産毛を逆立てる。

『皐月さん…あの、これ…』


ドアの外で少し物音がするので聞いてみた。


皐月「あぁ、言ったでしょう?
もうちょっとウエストを絞りましょうって。」


彼の黒ーい笑みが脳内で勝手に再生される。


諦めて下着をつけ、ストッキング、キャミソール、コルセットの順番でつけてみた。

前をフックで止めてあとは後ろの紐で締める…はず。
ドレスの時の見よう見まねでやってみようと紐に手をかけたら皐月さんがナイス(いやバット?)タイミングで部屋に入ってくる。


皐月「お締めしますね」

有無を許さない顔にすくんで彼に紐を取られてしまう。

ドレッサーの鏡に彼の表情があまりない顔がうつり少し見入っていれば、あの地獄が私にやってくる。


潰れたカエルの声はもう出すまいと覚悟していても出てしまうのは仕方がない。

だって後ろの彼は楽しそうに紐を引っ張るのだから。

 
 

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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時

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