隠し扉 ページ23
書斎、というか最早ミニ図書館に連れられた私は皐月さんに一冊の本を手渡される。
古そうな皮の本で、B5ノートくらいの大きさ。
とはいえノートとは比べ物にならないくらい太い。
皐月「この本は家系図、歴史など様々なものが詰まったもの。
暇があれば目を通しておいてくださいね。」
彼はそう言いながら私の手の中にある本の最後のページをめくる。
数十ページの白い(古くて若干茶色い)紙の後に何やら隠し扉の設計図らしきものが描いてある。
『隠し扉?
この書斎と似た本棚ですね』
似た、ではないことはまぁ理解しているが…元一般人の言葉のあやというやつだ。
皐月「えぇ。
左から三つ目の本棚の裏は地下への階段になっています。
まぁ、普通の屋敷ならそこに使用人の部屋は作らないのですが、一応一般の家なので不要な部屋がたくさんあると不自然でしょう?」
なるほど、と一人納得して開かれた通路を見下ろす。
少し冷たい空気に身震いする。
通路の右手のボタンを押すとパッと明るくなる。
『へぇ…この下は何が?』
彼の寝室があるというのだから勝手に降りて行っては失礼だろうと皐月さんの方を向いて聞く。
いくら自分の家だからといっても流石に気が引けた。
皐月「あぁ、2つの使用人のために設計された部屋、簡易キッチン、トイレなど…
私の部屋の奥はセーフルームになっています。」
セーフルーム…
あぁ、映画などでなんだかお金持ちが持っているような非常用の部屋だろうか?
謎だ…
なぜそんなものがあるのか私にはとりあえず謎すぎた。
ーーーーーー
書斎の中のものや、地下の説明、その他諸々の説明を受けた後私は部屋に戻った。
もちろん皐月さんも背後にいる。
『立ってないで座ってもいいんですよ…?』
背後霊のように私の斜め左背後にぴったりと立っているもので少し怖い。
あぁ、といってドレッサーの前にある白い木製の椅子を取り、私の勉強机の隣に座った。
皐月「確か文系教科は苦手とか?」
私の国語の宿題を見ながら彼は(おそらく鼻で)笑った。
『作者の心情なんて知ったものですか。』
皮肉を込めてそう答えれば彼はクスリと笑う。
皐月「この世界で生きていくには作者の心情はわからなくともいいですが、周りの重要人物の心情はわからなければ潰されますよ。」
さらりと恐ろしいことを言う彼にぞくりとしながら、淡々と宿題の間違いを正している彼の声を聞いていた。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです!(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑!世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:あやにゃん | 作成日時:2018年8月19日 8時