常識 ページ22
いつもは歩いて２０分くらいかかる学校も、車で行けば数分。
いつもの通学路は住宅街だが、車では通れないため大通りを走る。
なんだか不思議な気分になった。
家の地下のガレージに止まった車の後部座席のドアは運転席から素早く立ち上がった皐月さんに開けられる。
素早くも丁寧な動きに少し感動さえ覚える。
『ありがとうございます』
いえ、と一言返される。
地下ガレージは少しひんやりとしていて、タイヤのゴム特有の匂いがした。
角のドアを開けて、階段を上ると玄関の横に出る。
スリッパに履き替えてローファーを靴箱の中に戻す。
通学カバンを二階の部屋の勉強机の隣におき、制服のブレザーをかけようとすると隣の皐月さんに取られ、ハンガーにかけられたそれは定位置に戻される。
『なぜ、ここにいるんです？』
平然と私の部屋に入り、私の後ろに立つ彼に問いかける。
皐月「専属使用人といったはずですが？」
はあ、と生返事をすると彼は少し面白そうに笑った。
どうやら専属使用人さんは私の後をついてくるらしい。
『ということはこの家に泊まる感じで？』
空いてる部屋は…あるな。
と脳内で家の３Dモデルを描きながら納得する。
皐月「はい、地下に部屋をもらいましたので。」
地下の部屋…？
まず地下に居住できるような部屋があったかの疑問、次に地下に住むということ自体に疑問がわく。
皐月「基本、使用人は地下、半地下の部屋、または離れに住むことが多いんですよ。」
そういう彼にいったんは頷いた。
とはいえ、この下にまだ部屋があったことが驚きである。
『この家は、私が思っている以上に広いんですね…』
そういえば彼はほう、と少し考えながら声を漏らした。
そして特に何をいうでもなく部屋の外に出て行った。
私が部屋着に着替えたいのを察したのか、なんなのか。
とりあえず私は制服を脱いでシャツやらをたたんで私服に着替える。
ここのクローゼットの中身は基本変わっていないらしい。
見覚えのないワンピースが２、３枚増えているだけだ。
ゆるいコーラルピンクのワンピースに袖を通し、ストッキングはそのままにスリッパを履き直した。
どうやって察知しているのはともかく、着替えた後すぐにドアが開く。
『ノックという一般常識を覚えることを推奨します。』
皐月「検討しておきますね」
悪戯な笑みを浮かべる彼を通り過ぎ、洗濯物をランドリーシュートに放り込んだ。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
