不思議 ページ21
校門まで歩くのに数人のクラスメイトに囲まれる。
正直何を言っているのか聞こえないが、適当にうん、とかえせば満足してくれるようだ。
今朝のった車を見つけ、手をふればシャツ姿の皐月さんが微笑む。
「篠原さんまたね」
「また明日！」
会釈をして車に向かう。
彼女たちもまた、たかそうな車に乗り込んで去っていった。
皐月さんは後部座席のドアを開ける。
チラリと見えたシャツの袖は、上品な銀で縁取られたカフスボタンで留められている。
確かお父さんもたくさん持っていたな…
皐月「…カフスがどうかしました？」
視線に気づいたのか彼は私に問うた。
特にどうかしたわけではないのだが、私はこう少し古いものが好きなのである。
身近につけている人がいると、少し観察したくなってしまう…
『素敵なものだなって…』
パタンと静かにドアが閉められ、少しして車が発進する。
隣にひながいないせいか、車内は広く感じられた。
皐月「このボタン、A様のお爺様にもらったものです。
所謂、上級使用人の証ですね。」
上級使用人…
小説や映画で聞いたことはあっても、そう会話では聞かない言葉。
使用人やら、権力やら…
外をふと見ればよく通る大通り。
スーパーなどの看板がたくさん立ち並んでいる。
『…家に、帰ってもいいんですか？』
明らかにあの屋敷へ行く道とは違う。
方向からして、今まで私が十年ほど住んできた、私の家だ。
バックミラー越しに皐月さんは頷いた。
皐月「基本的には、あの家で過ごすそうですが…色々と公言してしまったため何かあったら即引越しになりそうですね。
あの家に戻るのにA様のご両親が説得したようですが、当主の条件には逆らえなかったそうで」
お母さんたちは住み慣れた家を手放したくなかった。
いや、それとも責務から逃れたい？
私を可哀想に思った？
両親の話を聞く限り、どちらとも生粋のお金持ちだ。
若い頃からお父さんは宮城の屋敷で育ち、お母さんも東京のどこかしらにある豪邸で育ったという。
それならばなぜ”不便な”あの家に、この前会った現当主の私のお爺ちゃんに逆らってまで住み続けるのか。
私はそれが若干不思議だった。
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あやにゃん(プロフ) - 紅葉さん» 一章と二章、どちらにもコメントくださって嬉しいです！(皐月さんは私の好みモロ出しにしてみました笑) そうですね、今作品のテーマは世界観や視点が変えられること、そして変えざるを得ないことでして…(でもやっぱり表現が少し大袈裟なので文章力が欲しいものです笑) (2020年6月2日 16時) (
レス) id: 41b9de9ad7 (このIDを非表示/違反報告)
紅葉(プロフ) - が、頑張れ篠原ちゃん……(その一言に尽きる)。皐月さんが好きです笑！世界観がどんどん広がっていくのがわかって楽しいです。 (2020年6月2日 10時) (レス) id: 7ac5223945 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやにゃん | 作成日時：2018年8月19日 8時
