【及川徹】無記名ラブレター【ハイキュー!!】 (ページ8)

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七通目ページ8

Aside

「及川、先輩……」

何度目だろう。

及川先輩の名前を呟くのは。

あんなことがあってから、私はずっとこうだ。

及川先輩は、私の手紙を読んでくれるだろうか。

そんな考えが、頭の中をぐるぐると回り続ける。

と、もう太陽が沈みかけた薄暗い中に、まだまだ明るくて熱気に包まれた体育館が浮かび上がった。

「……あ、ここ、バレー部の……」

ボールを床にたたきつける音。

味方を励ますような声。

バレー部、まだ部活やってるんだ。

引き寄せられるように、一歩、また一歩と体育館に近づく。

「すご……」

中では、汗だくになりながらもバレーをする部員たちの姿。

「……あ、及川先輩……」

その中に、先ほどまで私の頭の中を埋め尽くしていた及川先輩を見つける。

やっぱり、バレーしてるところもかっこいいな。

でもやっぱり、客席にはファンの先輩たちもいて。

私も、あんなふうに堂々と応援出来たらいいのに。

そしたら、私のことを少しでも知ってくれるかもしれないのに。

でも、そんなことを私なんかが出来るわけが無くて。

「……頑張ってください」

ぽつり。

そっと呟くしか、無かった。