第2話 A→B ページ2
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「おはよ徹」
「Aおはよう!」
もう少しで校門をくぐろうというとき。徹の姿を見つけ、私達はいつも通り笑顔で挨拶を交わす。
「昨日せっかく月曜日で部活休みだったのに、一緒に帰れなくてごめんね」
「大丈夫だよ、用事あったんならしょうがないって」
そう言って爽やかな笑顔を向けてくる徹。私も徹に笑顔を返した。
「────ところでさ、昨日の放課後何したの?一週間ぶりの部活休み」
出来るだけ自然に、顔に笑みを絶やさずに私は徹に問いかけた。徹は特に表情を変えず『あー…』と前を向く。
「すぐ帰ったよ。Aがいないとやることないからさ」
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────へぇ、ほんとに隠すのは得意なんだ。
「……凄いね。全然嘘っぽく聞こえなかったよ、徹。」
「────え?」
驚いたように私を見る徹。
「理科準備室。」
「…っ……!?」
「”及川先輩”ってことは後輩かな」
「…Aっ…!?」
焦ったように私の名前を呼ぶ。そんな徹のネクタイを引っ張り私は顔を近付けた。
「─────バレなきゃいいんだ?」
徹の耳元まで口を寄せ、ゆっくりと静かに囁く。
青ざめる徹のネクタイを離して、私は先程まで作っていた笑顔を顔から消し去った。
「…ち、違うよ…!あの子があまりにもしつこいから…っ」
「…しつこいから?」
「…っAがなんで知ってるのか分かんないけど、そこまでのことはしてな」
「徹にとってはキスって、そこまでのことじゃないんだ?」
「っ…!」
黙り込む徹。実際見たのはキスまでだけど、それ以上のことしたのは承知の上。
私は、徹を横目で見て『ねぇ』と声をかけた。徹は恐る恐る顔を上げる。
「…他に何か言っておきたいことある?さよならする前に」
冷たくそう言い放つと徹は驚いたように目を丸くさせる。
「…っえ!?待ってA…!!俺が好きなのはAだけだよっ…ごめん!」
「……………」
「もう絶対しない!なんでも言うこと聞くから、許して…っ!……Aと別れるなんて考えられない…」
必死の訴えの後、弱々しく呟かれた最後の言葉。
「───────徹。」
静かに呼びかけると、切なげに眉を寄せる徹と目が合う。
「許さない」
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白鈴(プロフ) - リッターさん» 最初の頃のコメントでも書きましたが、恋愛裁判を聴いてるときに思いついたこの小説です。なので似ていると思います。ありがとうございます嬉しいです(^O^) (2015年10月24日 13時) (レス) id: 15310db6cc (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - ☆SIRONEKO☆さん» 1話目を思い出してください。← 嘘です及川さん根はイケメンですよねうん。コメントありがとうございます(^O^) (2015年10月24日 13時) (レス) id: 15310db6cc (このIDを非表示/違反報告)
白鈴(プロフ) - 緑猫さん» いえええぇぇえい↑↑…ありがとうございます。大好きなんです、そして逆も然りですよ(^O^)頑張りますね (2015年10月24日 13時) (レス) id: 15310db6cc (このIDを非表示/違反報告)
リッター(プロフ) - なんだか恋愛裁判みたいですね… けどとても面白いです!クソ川の癖にイケメン…(( (2015年10月4日 16時) (レス) id: 43803e6b67 (このIDを非表示/違反報告)
☆SIRONEKO☆ - 及川さんがあのクソ川さんだと思えない程イケメンだと思うのは私だけなのでしょうか。← (2015年10月2日 21時) (レス) id: cac7adbe1a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白鈴 | 作成日時:2015年5月24日 19時