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漆拾伍話 お人好し ページ28

しかし気に食わない。だがいじめすぎたら音柱にチクられるかもしれない。

そうすれば自分の出世に響く。それは勘弁だ。




「お前は強いのか?」

「そりゃあ死なない程度には……」


いざと言う時はこれを囮にしてもいいだろう。目撃者がいなければ死人の出まくる鬼殺隊で咎める者もいない。

俺は自分以外信用しない。





―――――――――――





「っと……」



最後の鬼の頸を斬り終える。

たいして強い奴もいなかったので能面の女の方も終わっていることだろう。



「くそっ、くそっ!こんなとこで死んでたまるか…!!」

「往生際の悪いやつだな……」



しかし頸は落としたし合流するためその場を去ろうとすれば鬼は背後で叫ぶ。



「お前も道連れだァあ!」



大きな叫び声と共に鋭い氷が俺に向かって飛んでくる。

血鬼術持ちだったのか!背後から一撃で仕留めたため気づかなかった。




“殺られる”


脳裏にチラついた。己の死が。

急いで致命傷を避けるため体制をひねるが間に合わない!



.




.







.



「――――唄の呼吸 伍ノ型"静音の唄頌"」

「お前…」



綺麗な太刀筋で刀を振るう能面の女。

しかし急いで技を繰り出したせいか体制は不安定で氷が掠り血が出ている。



「大丈夫ですか?勾玉さん。」

「馬鹿っ!なんで庇った!今日会ったばかりの他人だぞ、俺たちは!」

「なんでって……同じ鬼殺隊で仲間じゃないですか。」






仲間?だとしても初対面の俺を救う理由になるのか?



「仲間も見捨てるなんてそんな地味な真似はしませんよ。」

「それでも俺は……」



心の中でこいつを見捨てることさえ視野に入れていた。

心が腐りきった俺でも多少は後ろめたい気持ちだってある。







「女の体に傷つけたんだ…詫びるぐらいさせろ。」

「女は捨ててるのでそんなに気にしなくてもいいんですけどね〜……あっ、じゃあ友達になりましょう。」

「は?」

「そんなに引いた目で見ないでくださいよ。嫌なら別に…」

「いや、構わねぇよ。」


「!……本当ですか!?私全然友達いないので嬉しいです!」


音柱の継子の寂しい人間関係が浮き彫りになった。

漆拾陸話 新たな友達→←漆拾肆話 獪岳くん



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佑奈(プロフ) - 面白くて一気に読んじゃいました!これからも応援してます! (2020年8月28日 13時) (レス) id: 4ea904291e (このIDを非表示/違反報告)
餡蜜 - 不死川さんと宇随さん、面白いです。フフフッ (2020年8月8日 19時) (レス) id: 2f84cbf165 (このIDを非表示/違反報告)
みるく - すごい文才だと思います!私、応援しています! (2020年4月22日 16時) (レス) id: 43416ff750 (このIDを非表示/違反報告)
寧夏(プロフ) - て、、低評価が着いたのですか…作者様の作品はすんばらしいので自信もってください!…私に言われても変わんないか笑評価して続編移ります!相変わらず最高です! (2020年4月5日 7時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
サクラミ - 面白すぎて辛いwww もうほんっとに大好きです! (2020年3月28日 9時) (レス) id: 2718317c45 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:AOI 3 | 作成日時:2019年12月11日 13時

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