ド派手な継子 弐

陸拾陸話 師匠と継子 ページ19

「よし、A。稽古するぞ。」

「えっ、やだ。」

「即答すんな。お前に拒否権はねぇよ。」


ズルズル引こずられて道場へと連れていかれる。



「なぁ、A。」

「はい？」

「お前は俺が師匠で良かったか？」


襟元を持って引こずってくる師匠の顔は見えない。急になぜそんなことを聞くのだろうか。


「正直師匠の継子やめてぇ……って思ったことは何百回もあります。」

「それ初耳だぞ。派手に殺すぞ。」

「なんでだよ。」


自分から聞いてきた癖に。



「でも後悔したことはありません。」

「……そうか。」




私の中で師匠は誰よりも凄いんだ。

師匠は自分を他の柱より劣ってるって言う。

確かに柱は天才ですごい。でもその人たちに肩を並べることの出来る師匠だってすごく強い。




「私の中でも命の優先順位を派手に決めてますよ。」



木刀を手にして構える。


「一番は師匠と雛鶴さん達です。二番以降は時と場所によります。」

「馬鹿が。お前に俺が守られるほど地味に弱いとでも思ってんのか。」



そんなことを言いながら師匠は笑顔だった。

私は師匠と雛鶴さん達が好きなんだ。大切だからこの人たちを守れるぐらい強くなりたい。




「よろしくお願いします。師匠。」

「強くなれよ。A。」



絶対に失いたくない。その為に私は強くなるんだ。

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