ド派手な継子 壱

伍話 スパルタな嫁 ページ6

そして１ヶ月この基礎体力向上の訓練を続けた。


今では息切れ無しで余裕で走れるようになった。もちろんお面はつけたままで。




「よし、次は受け身の練習だ。」

「はい。」



その日はただひたすら投げられた。

そして受身が出来るようになれば師匠と嫁さん総出で苦無やら手裏剣を投げられ、それをひたすら避け続けた。



「いいか。頭は狙っていいがお面は狙うな。俺らが死ぬぞ。」

「「「はい！天元様！」」」

「いや、頭も狙わないでください。」




死なない為の訓練なのにこれじゃあただの殺人事件だよ。


しかし昔から人目を気にして生活していた私は感知能力が人並を外れている。言うならば第六感と言うやつだろうか。



そのおかげもありたまに掠るがほとんど避けることが出来る。




「何やってんだお前ら！ちゃんと当てろ！苦無はこうやって的を見て投げんだよ。」

「はいっ！天元様！」

「いや、どっちの訓練？」



今的って言った？というか四人とも目が殺る気に満ちてんだけど。




「やった！当たりました天元様！」

「よくやった。さすが俺の女房だ。」

「おい！弟子に苦無当てて一喜一憂すんな！」




どうしよう。このままじゃあ継子育成じゃなくて唯の嫁の訓練になってしまう……

だったらこっちも反撃しないと！


落ちている苦無を四人に向かって投げつける。

すると師匠に真っ直ぐ飛んでいくがあっさり弾かれてしまう。



「的が攻撃してくんな！大人しく避け続けろ！」

「今ハッキリと的って言いましたね！？」




さらに過激になってしまった訓練に溜め息もする暇もなくただひたすら避け続けた。




『苦無をあんなに上手く……見様見真似にしては出来すぎるな…………』



視界の隅で己の師匠が不敵に笑っていたことを訓練に集中していた私は気づかなかった。

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