ド派手な継子 壱

参拾陸話 乱暴的 ページ37

「ギャアッ！」

鴉の叫に近い鳴き声が辺りに響く。


「どうでもいいんだよ！鴉なんて！」



人相の悪い少年は声を荒らげて白髪の子供の頭を乱暴に掴んで睨みつける。




「刀だよ刀!!今すぐ刀をよこせ!!鬼殺隊の刀!!”色変わりの刀“!!」


彼は何をそんなに焦っているのだろうか。

フラフラと飛んできた鴉を優しく撫でながらくだらない論争をカナヲと傍観する。



すると髪を掴んだ手をおかしな耳飾りをつけた少年が怒ったような表情で掴む。




「この子から手を放せ！放さないなら折る!!」

「ああ？なんだテメェは……やってみろよ!!」



静かに風か吹いた。

一刻も早く帰りたい私はこのくだらない争いに飽き飽きして大きな欠伸をする。

隣にいるカナヲも興味無さそうに蝶と戯れていた。




そして少年は反省する気のない人相の悪い彼を見て諦めたように息を吐き力強く彼の腕を握った。


視界の隅で金髪君が驚いたような怯えた顔をする。


「ぐっ…！」

骨を折られたのだ。相当痛いだろうに。人相の悪い少年は苦しそうに後ずさり耳飾りをつけた少年を睨みつける。


「お話は済みましたか？ではあちらから刀を造る鋼を選んでくださいませ。」


目を向ければ小ぶりなものに少し大きめなものまで沢山の鋼が並んでいた。



「鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は御自身で選ぶのです。」



これが私の武器になる。

ズラリと並んだ玉鋼を静かに見据えた。

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