ド派手な継子 壱

弐拾弐話 殺る気満々 ページ23

「全集中“常中”？」

「あぁ、これが出来れば更に強くなる。」



全集中“常中”

地道かつ過酷な鍛練の積み重ねにより、睡眠中を含む二十四時間つねに全集中の呼吸を維持し続けて身体活性化する言わば柱になるための入り口と言っても過言ではない。


そう教えて貰っても知能の低い私の頭ではいまいちピンと来ない。



「とりあえず全集中の呼吸をずっと続けてりゃあいいんだよ。」

「そんな簡単に言わないでくださいよ。」



やらなければならないのは分かっている。しかし毎日が濃すぎて私は心身ともに疲れまくっている。



「いいか？俺は強くてそんでもって派手派手だ。」

「はい。知ってます。」

「それなのにお前と来たら……俺の継子の癖して地味に消極的で顔だけが取り柄のただのチビな顔面兵器じゃねぇか！」

「あれ？これ喧嘩売られてる??」

「悔しくねぇのかよ！」

「いや、もうすごい殺意は湧いてますけど……」



温厚な私もそこまで言われたら腹立ちますよ。




「そこで俺様がお前を強くする取っておきの秘策を考えた。」

「……何ですが？」



分かってますよ。どうせクソみたいな策なんでしょう？





「お前が全集中常中を辞めたら俺と嫁が総出でお前を殺しにかかる。」

「物騒！」

「常中をやらざる得ない状況を俺たちが作ってやる。」

「えっ、馬鹿なの！？」





昨日まで笑いあってた嫁さん達も今日から唯の殺人鬼になんの！？



「えっ、寝てる時もですよね？」

「当たりめぇだ。安心しろ、元忍びゆえに寝込みを襲うのは得意分野だからな。」

「やる気(殺す気)満々じゃないですか！」


そしてこの日から史上最も危ない地獄の訓練が始まった。

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