過去を知る者４/H ページ47
「どうしてだろうな」
やっと出てきた言葉はそれだけだった。
冷めてしまったお茶を一気に飲み干してほっと息を吐き出す目の前の男は
智とおれと一緒に先生の寺子屋に通ってた幼なじみだ。
そして、先生が亡くなった日
智の嘘をいち早く見抜いた人だ。
『先生は・・・出かけたよ』
まだ幼い智がついた嘘は、同じように幼かったおれたちが信じるには十分だった。
家を戦で無くして母親と生き別れた智を先生が見つけた。
先生と一緒に暮らして、本当の親子のようで……
その智が言ってるのだから、先生は本当に出かけてしまったんだろう。
おれたちはそう思ってた。
でもその日、先生は帰ってこなかった。
おれたちが家に帰る時間になっても姿が見えなくて帰るのを渋ってたら
智が大丈夫だからっておれたちを帰したんだ。
翔は納得してなさそうだったけど、渋々家に帰ることにした。
次の日も先生はいなかった。
代わりに知らない人がおれたちに文学を教えてくれた。
『君たちの先生は急な用事が入ってしまってね。私で我慢してくれ』
後に分かったことだけど、その人は智に口止めをされてたらしい。
智は
たったひとりであの人の死を背負おうとしてたんだ。
それから三日ほどその人がおれたちの先生だった。
三日目の朝、智と翔が喧嘩してて
おれが止めに入ったんだ。
『どうして隠してたんだよ！なんで教えてくれなかったんだよ!!!』
翔がどんなに怒鳴っても、智は黙っていた。
唇を噛み締めて涙を堪えるあの表情は今でも忘れられない。
翔は智の様子がおかしいことに気づいてた。
それを問い質して、先生がもう二度と帰ってこないことを知ったんだ。
「なあ、先生の死を知ったあの時……智はなんて言ったんだ？」
「顔色が悪いことを心配したら空見上げてさ、子供とは思えない表情で
大丈夫ですかって頭撫でてくれる人が、いなくなっちゃった。って……
そう言ってた」
「その後、喧嘩に？」
「そう。なんで教えてくれなかったんだって怒りが先に出ちゃって智君を責めてしまった。
でもいま考えてみれば、智君もどうすればよかったかなんて分からなかったんだと思う。
自分の目の前で恩人が斬られて、気が動転してたと思うし……」
あの小さな背中には大きすぎる荷を背負わせた。
あの時、翔の腕の中で泣きじゃくる智を見ながら
二人で約束したんだ。
『春彦、これから先なにがあっても智君を守ろう。そして
なにがあっても智君の隣にいよう』
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紗月(プロフ) - 成魔さん♪さん» 嬉しいです！(/ω＼)期待にお応えできるよう頑張ります！現実のほうも一緒に頑張りましょ!(笑) (2015年2月19日 15時) (
レス) id: 3daef8858a (このIDを非表示/違反報告)
成魔さん♪ - 紗月さん» もちろんです!やっぱり久しぶりに読んでも、面白くて…。続きが気になってしかたないです!お互い、頑張りましょう! (2015年2月5日 21時) (レス) id: 9f8c4a316c (このIDを非表示/違反報告)
紗月(プロフ) - 成魔さん♪さん» お久しぶりです!(^^)!私もスランプになってしまい全然更新できてなかったんです。すみません。やっと抜け出せそうなので地道に更新していこうと思います！成魔さんも頑張ってください！！ (2015年2月5日 21時) (レス) id: 7052429c8b (このIDを非表示/違反報告)
紗月(プロフ) - へさささん» 有難うございます！更新が遅れてしまい申し訳ありません。 (2015年2月5日 21時) (レス) id: 7052429c8b (このIDを非表示/違反報告)
成魔さん♪ - 紗月さん» お久しぶりです。まったくこれなくてすみません…。自分の小説の更新で忙しすぎて…という言い訳です…すみません…。またちょくちょくここに来ますので、更新、頑張ってください! (2015年2月4日 22時) (レス) id: 9f8c4a316c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：紗月 | 作成日時：2014年6月28日 22時
